「会えない時間が愛深めるのさ」

そんな歌の歌詞がある。
 
誰かのことを考えたり、物事を空想する時に想いって深まるもんなんだなぁ。
例えば、毎日会っている人に想いを馳せることって少ない。
日常になってしまった事に夢を描くことは少ない。
 
不思議だね。
目の前にないものの方が、大事に思えてきたりするんだから。
 
よく、僕は「隙間」や「余白」なんて言葉を使う。
人が考える余地みたいなものかな。
歌でも絵でも、描ききらず余韻のあるものが好きだ。
 
アニメ映画で言ったら、高畑勲監督の「かぐや姫の物語」なんて良い例かもしれない。
画面いっぱいに色を乗せずに、白の背景を存分に残した作品。
線と塗り残しのあるタッチが、見る側の想像力を掻き立てる。
 
僕はとても贅沢なんだと思う。
完全に観せるのでなく、出し惜しみしてほしいと願うんだから。
相手の想像力に託すゆとりを欲しているんだから。
 
話は飛ぶけれど、男女の色気にしてもそうかもしれない。
色気は出すものじゃなくて、引くことで出るんだと思う。
相手に想像をさせる、出し惜しみから出てくるもの。
 
それは自信があるからできることなんだ、きっと。
「全てを今ここで出さなくていいや」と言うゆとり。
「どう思われてもいっか」と言う自然な余白。
それが色気につながるのだと思う。
 
ずいぶん話がかけ離れたけど、芸術と言われるものはそんな妄想の産物だと思う。
受け手がどれだけ想いを膨らませるか。
そこに魅力の秘密があるんじゃないかな。
 
頑張るより、自分を信じて力を抜く。
その方が意外と人には120%にも200%にも映るもんだよ。
上手に伝えるって、そう言うことなんじゃないのかな。