かけがえのないものがある。

それは友であり、仲間であり、僕を囲む人達のこと。
 
知人で100億円の財産があるお爺ちゃんがいる。
しかし、その方には友が誰一人いない。
100億円の反対にぶら下がる孤独。
人生の天秤が、バランスを取りながら揺れている。
 
幸せとは何か?
その第一条件は「孤独でないこと」。
永遠の命を授かったドラキュラを想う。
彼は歳もとらず、世界のありとあらゆる景色を見て、時代を渡り歩くだろう。
強欲の限りを尽くし、永遠の人生を悠々と生きる。
 
…かと思いきや、彼は最大の不幸を背負うことになる。
そう、孤独と言う不幸を。
彼の気持ちをわかる人間は存在せず、共有不可能な"永遠"を持て余す。
もし僕がドラキュラなら、早くに自殺を選ぶ。
それほど孤独は不幸である。
 
孤独だから人と違ったことができる。
孤独だから人の羨望を集める。
確かに、そんな場面もあるだろう。
しかし、その種の孤独は幸せへの過程であり、真の孤独ではない。
 
お爺ちゃんが人生を賭けて買ったもの。
それは、100億円の孤独。
 
かけがえのないものがある。
同じ時代に産声を上げ、息をし、死んでゆく仲間達。
死とはそう言う意味では神がくれた救いなのかもしれない。
 
僕は孤独でない。
笑いあえる、泣きあえる人達に囲まれている。
かけがえのないものに囲まれている。
 
 
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