強がらなきゃならない時もある。
意地をはって、虚勢を張って。
「冷めた人だ」と言われても、弱い心を隠さなきゃいけないことが時にある。
欲しいものに「欲しい」と言って、そっと手をのばした途端、
その欲しいものがスッと消えてしまいそうで。
素直になれたらどんなに楽か。
電車で誰かを見送るように、自動扉が閉まった後、背中を向けてクールに装う。
ずっとバイバイするのも照れるから、無理してプイっと背中を向ける。
電車が視界から去った後、少し後悔して ため息。
矛盾した自分に「バカ」と言う。
嘘をつくなとこぼしている。
そんな繰り返しの日々を、いつまで過ごしてゆくのだろう。
”虹のふもとに宝が埋まる”と昔の人は言い伝えた。
けれど虹はつかめない。
近づけば近づくほど離れてゆく。
「眺めるだけが一番いい」
そんな言い訳飲み込んで。
素直に生きたい。
けど素直になれない。
守りたいものは、守るだけじゃ守れない。
矛盾を孕んだ自分の心、まるで笑いながら泣くピエロ。
人が笑えばそれでいい。
ただ、そんな笑いを振りまいて拍手が大きくなる度に、涙の雫がポタポタ地面に落ちてゆく。
僕は強がりの道化師。
素直になれない悲しみの道化師。