ダイヤモンド、クリスタル、ゴールド。
身につけられるその光の数々は、人の心を魅了する。
そんな中でも、僕の好きな輝きに"パール"がある。
淡く深いその白い光沢に、さりげなさと気品が感じられて好きだ。
真珠を作るには、大きく分けて2つ方法があると聞く。
小さな真珠の子供を貝の中に入れ込み、養殖するもの。
そしてまさに、生まれた時から真珠を内包している天然のもの。
どちらの場合も貝のエネルギーを使い、大きく育つ。
逆に言えば、貝の"生の力"を犠牲にして真珠は大きくなる。
アートと言われるものも、同じ気がしてならない。
早くして亡くなる才能あふれるアーティストが多い。
それはきっと自分の生の力を使ったから、いや使わされたからなのかもしれない。
輝くパールを欲しがる人々に、子供の養殖真珠を埋め込まれた者。
そして元々内包された真珠が、力強く生きるがために大きくなってしまった者。
生き方が不器用だったからじゃない。
生き方に異常があったからじゃない。
そういう逸材だっただけ。
いつでも思う「幸せって一体なんだろう?」って。
賞賛が拍車をかけ、真珠を実らす。
その分、生は死へと色を変えていく。
アートとはまさに真珠のようだと思う。
輝きを求めて人は手を伸ばす。
実は知っている、それは何かの代償で生まれたものだと。
だから価値があるのだと、心の内では知っている。
冷たい海の下、今日も貝がうずくまり真珠を抱きしめる。
静かな海の底、人知れず輝きが生まれている。