功徳草~くどくそう~
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功徳草~くどくそう~
昭和ひとケタ世代が綴る短歌の世界。
平成3年から15年までの作品を収録していきます。
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ここに収めたものは、平成3年から15年までの作品である。作品は土屋文明の世界を一歩も出ることはできないが、多少なりとも見るべきものがあるとすれば、写生を基本としての僧侶の見方と、わずかながら文学的虚構を加えたところにあるかもしれない。
「功徳草(くどくそう)」は、「浄土論」の「宝性功徳草 柔軟左右旋」に因るものであるが、名のみを借りて、体の伴わないことを恥じる。
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初運動会 2
七十六の年ゆくときに自ら心ゆるびつつ厨子の塵ふく
後幾年後幾年と生きて遇ふことのなからむ御遠忌を待つ
初運動会 1
腕あげて力誇示するスピーチに先進国の英知は見えず
保育所より電話かかりて発熱の癖づきし子を迎へにゆくも
走り出して間もなく靴の抜けたりと初運動会のさまを聞くはや
ダチュラ 4
ケアルームで貧しき話せし縁にクリニックより届く賀状数枚
暁闇を点滅しゆく機影見て再び眠る十五分ほど
事務用に建てし離れにさしあたり要る物まとめ吾ら移りぬ
ダチュラ 3
勤務地の佐多より送りくれしダチュラ年々咲くを君は亡きかも
寒くなりて歩み怠る二三日に向こうの山の枦紅葉過ぐ
寒桜ふふめる下に椅子置きて妻に刈り貰ふ白く薄き髪を
ダチュラ 2
年々に戸数減りゆくわが寺の今年の割当は百六十万こゆ
後九年この額で納金せよといふ聖人遠忌も吾におぞまし
いちゃう落葉つめて黄の袋十余り軒端に並べ次の週待つ
ダチュラ 1
宵々に遅るる月を子と待つにこよひは東南に暈を冠れり
用ありて吾ら出で来ぬ僧一人老婦人三人に寺を預けて
体育会があれば町中が空になるそんな過疎地となってをります
極楽鳥花 4
一つ聞けば一つ忘れて代金と薬に行き戻る調剤薬局
セイタカアワダチ草枯れて黒ずむ河川敷憎まれ草も盛り短し
切り過ぎしかと悔みたる極楽鳥花巻葉のあひに赤く荅めり
極楽鳥花 3
苔張りて武骨に枯れし枝仰ぐ木にも寿命のあるかと思ひて
寺つぎて四十九年目の改選に漸く総代より年長となる
子の嫁となるかもしれぬ人来るにためらひにつつ幼抱かれぬ
極楽鳥花 2
二人にても参りくるるを喜びに彼岸の法話す今日は坐りて
幟立つ木市は車より見るのみに歸りきて移す木草二株
青々と茂る葉の間に柚子熟れて一つの枝は地に触れむとす
極楽鳥花 1
夏過ぎて涼しくなれるこの日頃み堂の花の保ちよくなりぬ
草とるとこころざし来し老婦人にナナカマド切られ吾亦紅抜かる
案内状出さねど参りくる少人数たのみて細々と彼岸会続く
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