功徳草~くどくそう~ -2ページ目
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功徳草~くどくそう~
昭和ひとケタ世代が綴る短歌の世界。
平成3年から15年までの作品を収録していきます。
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潮騒 3
ドイツより歸省せし娘に無花果の熟れし熟れざる十余り摘む
嫁となる日の早く来よ風邪に臥す子の看病に職やすみ来ぬ
参詣人去りて人気なき本堂に首回しゐる扇風機幾台
潮騒 2
保育所より歸れば吾の手を引いて庭へと誘ふ遊び足りずに
細道の運転あやぶみ保育所へ子の送迎を 汝は任せず
デイサービス楽しむ人らに囲まれて法話とも人話ともつかぬ話す
潮騒 1
遠々と聞こえし波見の潮騒を聞かず又しも耳衰へぬ
尿の出のかくも微妙に変わるのに一喜一憂す術後一年
誤爆といふ言葉聞くにも新しき戦争はどこかスポーツに似る
姉蓮香 2
五月五日の登山に姉の焼きくるるカリントウが唯一のおやつなりしか
戦時下にてあれば行幸の天皇にお茶あぐる姉を誇りに思ひき
心寄する人多かりし姉荒寺に復員無職の人に嫁ぎき
姉蓮香 1
年々の登山に巻鮎を作りくるる姉を恃みき中学生われは
もっとせよと物差やハタキを与へたりきゃうだい喧嘩をしゐる吾らに
木炭タクシーに揺られて郡外へ嫁ぎたる日より五十五年今日の悲しみ
カレンダー 2
耳遠くなるは長生のしるしです昔聞きしを今も信じて
わが家に近き商店の友ふたりこの春先ににわかに逝きぬ
カレンダー 1
巾寄せもバックもこの頃むつかしくなりてビートルを傷つけてゐる
鹿児島市に出ることのなく洋ペンのカートリッジが品切れとなる
この月も無為に過ぎぬと微笑め るモンローのカレンダー惜しみつつ剥ぐ
石灯籠 4
年に一度の登壇に馴るることのなく三拝するに脚のふらつく
石灯籠 3
苦しみて話しし我に比べれば今の人らは気楽に話す
人招き飯食するが苦になりて在家報恩講すべて途絶えぬ
惰性的に晨朝に読む三経は幾つになりても下巻が読めず
石灯籠 2
タラの芽の萌ゆべくなりて裸木に緑見ありく朝夕べに
寒蘭の咲きて向拝の端に置く手入れ怠りて残る二鉢
我が侭となりつつ人は終わるのかたまゆら思ふ妻子にあたりて
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