日韓基本条約とは、日本にとっては、対北朝鮮対策としての、妥協の産物であり、アメリカの再三の要請による、処理せねばならぬ反共の出発点としての懸案だった。
この時、非常に、奇妙な妥協が行われたのであり、日本側は、この条約にいっさい「謝罪」の意味を込めるつもりはなかった。
韓国の政権は、国民に謝罪を勝ち取った証として、巨額の賠償金をとった、と説明した。
日本政府は、あえてそのような説明はまかりならぬ、とは止めなかった。
謝罪でもないのに、巨額の借款、なぜ供与したかといえば、日本側が韓国に残してきた財産と韓国側が日本に取られたとする損害額の差し引きの算定に基づくのであって、これは、謝罪と倍賞でもなんでもない。
この時、韓国側は、どんぶり勘定で、韓国側の受け取りが莫大になるような算定根拠を示したが、日本は、反共協調を確立せよというアメリカの要請と日本にとっても必要だった、韓国との条約確立の必要から、どんぶり勘定の差し引き勘定をまるのみに、呑んだ。
ただし、この時、日本は、そこに、「謝罪」の意味をつけることだけは拒否した。
同時に、韓国が韓国国内で、日本に謝罪させた、と言うことは、禁じなかった。
こうした、財産請求権には、「売春婦でも当然所有する貯金通帳、不動産証書、動産所有権」のことも含まれる。
現在、「慰安婦問題は日韓条約で解決済み」というのは、この貯金通帳、不動産証書、動産所有権の補償は、解決済みということを最初に、政府は答弁したのであって、謝罪を解決したことは、一度もないのである。
これが、保守派は、「日韓条約で解決済み」とおうのは、罪を認めたことになる、と言い、左翼は、「日韓条約で解決済みとはいえない」と反論している。
日本政府は、「植民地問題という謝罪」は存在しないと考えており、それで正しい。
当時、併合制度は、国際条約として合法だったからである。
条約の時点で、風俗関係職業の女性の財産が、戦後混乱期に失われる場合も、あったことは、知っていた。性奴隷うんぬんは、論外なのである。
じつは、これ自体は、姜 尚中は理解していないが、金慶珠は、知っている。
これを自分は知っているが、日本人の多くは知らないらしいという思いが、金慶珠をして、余計傲慢で、自尊心高い態度にさせている。
金慶珠は、日本は、上記のような意味でまったく謝罪していないから、韓国世論は、謝罪せよと言い続けるのだ、と解説する。
そして、じつは、日韓条約を謝罪意味を込めたものだ、と韓国政府が国内で説明した時、当時の韓国野党、学生運動は、「謝罪額が不足している」と言ったのである。 不足もなにも、日本政府はまるで謝罪の意味はこめなかった。ここに、日韓がかみ合わない原因がある。
まあ、それはどうでもよいが、少なくとも、この理解は、きちっとすべきものだ。