新日本プロレスは自分が小学生だった頃、金曜8時からの地上波放送で見ることができ、裏番組に「太陽にほえろ」があるという状況下で視聴率20%以上を叩き出すほどの人気でした。
もちろん試合は面白く、個性の確立された魅力ある選手も多かったのですが、その人気の最大の理由は、アントニオ猪木が提唱していた「ストロングスタイル」だったのだと思います。
カール・ゴッチイズムと力道山イズム、それを融合させ、「プロレスが最強」として行われた一連の異種格闘技戦。全日より新日…そのファンの多くはこれが理由だったでしょう。
その創始者アントニオ猪木が引退した2年後
船木誠勝がヒクソンに、橋本真也が小川直也に敗北します。
船木ヒクソン戦は格闘技の話だったとして、橋本はガウンの「闘魂伝承」からも分かるようにストロングスタイルの申し子ともいえる選手。
「新日最強は例えガチだろうと負けない。」
どこかにまだ、小学生の幻想が残っていたので残念に感じました。
そんな、ほぼプロレスに興味が無くなっていたけれどまだ時折見ていた最後の時代、一人の新人が現れました。
初見で、子供の頃熱中した新日本プロレスを感じたのを覚えています。
最年少でIWGP王者…ぐらいまでしか分からないのですが、新日を退団していたことを知りました。
ボブ・サップに言い放った
「K-1とかプライドとか知らねぇけど…」
道場生とかでも、あくまでプロの下位団体としか思ってなかったり、平気で他の競技団体に所属したりしてますけど
「一番スゲェのは格闘空手なんだよ」
当時の選手って強い弱い関係なく、ほぼ全ての人が当たり前に持ってたんですよ。
だから当然会話が合う、年が離れてようが、初めて会った人だろうが飲めた。
新日はK-1、PRIDE全盛の頃、低迷はしていたものの、東京ドームでの興業を定期的に開催。今やその人気も回復しているようです。
その理由は経営のプロ、しかもプロレス好きが本気で取り組んだ結果なのだと思います。
【なぜ私は、新日本プロレスを買ったのか?】
しかし、それはストロングスタイルと闘魂伝承を捨て、今のニーズに合わせる=新日が新日でなくなるということでした。
それを象徴するスター選手、棚橋弘至、オカダカズチカは当然「過去は関係ない」として、今を創る選手です。
しかし、中邑は…
あまり詳しくないので、この意味ではないのかも知れませんが…
ボマイェが猪木ボンバイエからきてるのも、それらを表しているのを感じます。
今の名称はキンシャサだそうで…
通じなくなった既成概念をぶっ壊して、新しくすることは時代の流れなので仕方ありません。
それでも昔の新日に惹かれた人ならば、この考えの選手がいる方が絶対魅力あるでしょう。
今やアメリカでトップ選手となってたのには驚きましたが、国内が最強決定戦にならなくなってしまうことは、野球や格闘技と同じで少し残念です。
凄いクオリティ、これそのままですね(笑)。
「台本あったんかい!」
そんな見方になった時期がありましたが、時が流れ、格闘技っぽいプロレスより従来のプロレスの方が高度なことを知りました。
勝敗は決まっているけど、観客にはどちらが勝つか分からない面白い内容にするというエンターテイメントで問題ないです。
(業界でメシを食わせてもらっておきながら、それを金儲けのネタにしたミスター高橋の罪は重いです。)
知らないことの方が幸せなこともあります。
それでもやはり、再び新しい新日に興味は持つことはありませんでした。
自分のやっていたものが「1番スゲェ」と思っていたので…
その時代の人、実際現場を動かしている当事者が思ったように創れば良いのは当たり前です。
それでも、少しだけでも心に残している人がやっている方が、先人やその時代の支持者も心から共感でき、過去と未来が繋がり、本当の意味で盛り上がるんじゃないか…
永い歴史を継承し続ける出雲大社も道後温泉も普遍、未来永劫変わらないです。
偶然入った店で熱くなれていた頃を思い出しました。