2016/01/22 21:00




川田の流転の人生が、この世でも再現されたような急展開となった。




焼肉を食べた後、突如として時間無制限の勝負が始まる。



( ̄▽ ̄;)「相手がいなくて困ってたんだ、ちょうどいい所へ来てくれたぜww」



比良塚は、弱冠17歳にしてこの雀荘界隈では無敵の打ち手らしかった。



(´・ω・`)「しかし比良塚よ、こっちは今時自動雀卓じゃないのかよ(笑)。」


( ̄▽ ̄;)「確かになw…でも、この方が風情があるだろ。
あっ、この世ではイカサマとかそんな概念は無いぜ、麻雀のルールの範囲でなら、何をやってもOKだ。」
(比良塚は拾い、抜きのスペシャリストであった。)


(´・ω・`)「いや、俺はそんなの知らないし、出来ないから。」



まったくの大嘘であった。川田はあらゆるイカサマを習得している。

そう言いながらも卓と牌、その周辺を入念に調べた後…


(´・ω・`)「そこ、後ろのカーテンもしめてくれ。」


( ̄▽ ̄;)「疑ってるのか?」


(´・ω・`)「ビルの外から望遠鏡で覗くぐらいのことをされかねんからな。」


( ̄▽ ̄;)「そんな事しねーよ、ただの遊びだろww。」


(´・ω・`)「俺が賭けるのは点棒じゃねえ、プライドなんだよ・・・。」


( ̄▽ ̄;)「ふーんw、それじゃあんたと俺でサシ馬やろうぜ。」

※サシ馬=終了時の着順が下位の者が上位の者に一定の点数を支払うルールのことである。


(´・ω・ )「別にいいよ、追う道はあるんだ、見てな凍りつかせてやる。
(取り合えず死んでも、こんなDQNなガキに負ける訳にはいかない。)」





そんなプライドもあり、序盤は防御中心の闘牌が続いた。



比良塚が東二局で2000点をアガったのみ、川田にもこれといって手は入らない。



そして向かえた東四局、川田に勝負手が入る。


ドラ2、しかも飜牌。

※ドラ=この表示牌をアガりで持っているとボーナス得点。


もし、この【東】が鳴ければ手っ取り早いマンガン手だが、これはまず鳴けない。


ツモは好調で、川田イーシャンテン

※イーシャンテン=アガりまであと2牌、テンパイまであと1牌の形



【中略】



川田は待ちの広い3面待ちでなく、ツモればマンガンの【東】【リャンソー】のシャボ待ちを選択する。

※シャボ待ち=テンパイ時に面子が3つ完成していて、残りの牌で対子が二組できている状態のこと。



リーチをかけないので【リャンソー】はアガれない。


そして、あくまで【東】ドラ3狙いへ



(´・ω・`) (この【東】はまず出ない、比良塚は100%出さない。
しかし、残りの二人からはテンパった時こぼれる可能性がある。)



リーチをかけず【東】のみで待つ川田の前に、(⌒‐⌒)Aから打たれた。  


ピシッ 【東】


ほとんど唯一のチャンス、アガればマンガンである。


(´・ω・`)「・・・・・」


しかし、川田は動かない。

そしてゆっくりツモヘ行き


(´・ω・`)「リーチ!」



(´・ω・`) (この局、比良塚の手牌が入れ替わる中、一つだけ動かない牌がある。)


それは【東】ではないか?
死線を潜った勝負師川田の勘であった。


(´・ω・`)「・・・・・」


【東】打ちの緊張、そのあとの弛緩した空気の中、ゆっくり端へ移された一牌。


絶対的危険牌が安牌に変わったその時…


( ̄▽ ̄;) (助かった。)


ピシッ







必殺山ごし【東】ねらい。


(´・ω・`)「ロン!来たぜぬるりと、【東】ドラ3、リーチ一発がついて…ハネ満だ!!」

※ハネ満=点数は、子の場合は12,000点、親の場合は18,000点。


( ̄▽ ̄;)「バカな、何故その前の【東】でアガらなかったんだ?」


(´・ω・`)「こうでもしなきゃ出ねえだろ、お前からはよ…。
さっきの見逃しは、お前をいぶりだす煙さ。


( ̄▽ ̄;)「・・・・・クソッ。」



通常の打ち手なら、リーチドラ2で5200点、うまく転んでも8000点までだった。
それを川田は12000点に仕上げ、サシ馬から直取り…点差は24000点、ほぼ勝利決定である。



(´・ω・`)「ほら兄ちゃん、時間なんてかからねーだろ?
俺とお前じゃ場数が違うんだよ。」


( ̄▽ ̄;) (クソ、ヒラ打ちじゃ勝てねえ。抜きに行くぜ)

※ヒラ打ち=ぶっこ抜き、すり替え、つばめ返し、エレベーター、通し、拾い、グラサイ、爆弾、ガン牌など、悪いことをしないで普通に打つこと。



しかし、僅か6巡目…



(´・ω・`)「そいつだ、ロン! 【中】のみだがな」


( ̄▽ ̄;)「チキショー」


比良塚のイカサマは手が進まないと効果的ではない、その比良塚に仕掛ける時間を与えぬ川田。


点差は25000点に広がる。



( ̄▽ ̄;)(最初からいくぜ)


(⌒‐⌒)B「おい、今すり替えただろ!」


(⌒‐⌒)A「イカサマ、無効だぞ」


( ̄▽ ̄;)「ウルセー、この手のイカサマは現場を押さえなきゃ無意味なんだよ」


川田は気づいていたが、敢えて見送る。


(´・ω・`)「それがお前のやり方か?」


( ̄▽ ̄;)「だから?」


(´・ω・`)「みんなにバレてても、証拠をつきつけられない限りシラをきる。恥知らずだな。」


( ̄▽ ̄;)「残念だが、俺は恥ずかしいなんて思ったことは一度もないね。」


(´・ω・`)「悪党にも二種類あってな、スリを生業にしても、貧乏人の懐は狙わないスリもいれば、一人暮しの婆さんのなけなしの金をスルやつもいる。
それが、お前にそっくりじゃないか。


( ̄▽ ̄;)「黙ってろ!」


比良塚はアガったが、点差は21000点、実力差からみて勝負ありだった。


結局、点差は変わらずで、(一応)オーラス


( ̄▽ ̄;)「仕方ねえな、これで勝つw。」


(´・ω・`)「悪は必ず負けさせる、今更引っくり返らねえよ。」



余裕の川田は比良塚を追い詰める。


伝説は本物であった。



つづく