ボレーのコンチネンタルグリップを教えるには | 窪田テニス教室

窪田テニス教室

皆さんの技術向上のキッカケぐらいになればと思います。
内容は指導者向けかもしれません。
はじめての方はテーマ欄の「注意事項」をすべて読んでください。


ボレーを教えるとき、持ち方をコンチネンタルグリップにするのは必須です。コーチとしての力量の見せ所。

フォア側に厚いグリップで長い間プレーしていた人は、コンチネンタルグリップを嫌がります。

「今さら変えられない」「腕力がないからできない」「コンチネンタルは難しい」などと言い、「このままで(グリップはフォアに厚いままで)、ボレーを上手くしてください」と要求してきます。

ほとんどのコーチは、ここで折れます。でもマシです。トライしただけ。

コンチネンタルグリップを教えようとしないコーチが多いです。(「コンチネンタルグリップというのがあるよ~」と言うだけ。何も言わないコーチもいます。)

ボレーを打つとき、「フォアに厚めのグリップ」と「コンチネンタルグリップ」では、身体の使い方がまったく違います。

フォアボレーでザックリ説明すると、

フォアに厚めのグリップは、ハンマーで打つように右肘の動きをメインにします。

右肩の動きはほとんど使いません(使えません)。といっても「右肩の筋力は要らない」と言っているのではありません。右肩を動かないようにするための右肩の筋力が必要です。

右肩を固めて、右肘を支点にした動き。これで、右肘の関節が伸びていくほうにボールを打ちます。

打球前に面は上向きになり、打球後は面は下向きになります。「肘が伸びる前=面は上向き」「肘が伸びた後=面は下向き」

これは、とんでもないアウトミスと、とんでもないネットミスをする可能性があるということ。ちょっとのミスも許されない。簡単なボールを難しく扱うということ。

慣れてくれば身体の近くに来たボールは叩けるようになりますが、ボールが少し遠くなると極端に難しくなります。

身体をネット方向(前)に向けたまま、身体に対して右方向に右腕を伸ばすと、面は右方向に向きます。

この体勢から手首のターンで面をネット方向に向けると手首は苦しい。これでは安定しない。

ボールが右側に遠いなら、身体を右に向ければいいのでは?

そのように身体をターンして、ボールのほうを向いたとします。身体に対して正面に遠いボールを、手首のターンで面を左側(ここではネット方向)に向けると手首が苦しい。

どちらも繰り返すと腱鞘炎になりやすい。遠いボールはやりようがないのです。身体の作りに合わない状況が多い。


それに対して、コンチネンタルグリップは、右の肩関節(右胸の筋肉)をメインに使います。肘と手首の動きは少ない。

コンチネンタルグリップで右腕を身体の前に伸ばすと、面は身体に対して左側を向きます。ここから右胸の力でラケットを身体の左側に動かします。

この動きなら、10cm程度の振りでも強く打てる。素人はこれを「ラケットを止めて打つのか(グッとパンチするのか)」と勘違いします。右胸の力で、右腕が最も使いやすい範囲だけを最大限に使ったというのが真相です。これ大事。

肩の動きでラケットを動かすと、面は身体に対して左側から左斜め後ろに向きます。肩を動かしながら、手首を甲側に少しずつターンしていけば面は左側をキープできるズレを修正できる。

「面は上向きも下向きもない=とんでもないミスをしにくい」

「ボールが右に遠い→身体は右に向く(追う)→身体に対して左側(ネット方向)に打ちやすい」

これは、右側に遠いボールを打つことができるということ。

右手首と右肘を使わなくて右胸ばかりを使うなら、右胸を怪我するのでは?

怪我しません。今までに右胸を怪我したという人はいませんね。胸の筋肉は大きい。筋肉の大きさが他と違うのです。これが、ラケットの動きが安定する理由の一つ。

悪い状況でも、怪我なく上手く打てる。


このように、やっていることがまったく違います。他にもたくさん違いがあります。いろんな状況から、「コンチネンタルグリップの利点」と「フォアに厚めのグリップの欠点」の説明が可能です。

状況を設定して、違いを比較しながら教えると良いです。ローボレー、ハーフボレー、深いロブの処理、正面のボールなど。

下手なコーチは、この流れが悪い。

例えば、「コンチネンタルグリップだと、遠くのボールも安定的に打ち返せる」といって、生徒にコンチネンタルグリップで持たせておきながら、近いボール(簡単な)を打たせてしまいます。生徒はいつもの(厚いグリップ)感じで右腕を動かしてしまいミスする。やり難さしか伝わらない。

教えた動きと状況が合ってない。

これだと生徒は、「簡単なボールなら厚めのグリップでもできる。それなら、いちいちグリップを変える必要はない。」と思ってしまう。

「遠いボールが打ち返せる」といったなら、遠いボールを打たせなさい。ギリギリで届くかどうかのようなボール。初心者でもね。

それでボールが打ち返せたとき、生徒はコンチネンタルグリップに興味がわきます。「厚いグリップでは打ち返せなかったボールが、コンチネンタルグリップで打ち返せた!」という経験をさせることが大事。

「今までできなかったボールが、コンチネンタルグリップだと簡単に打ち返せた」という経験が、グリップを変えさせます。


指導側の人は、目先の成功で生徒を満足させたりすることがないように注意。

いちいちコンチネンタルグリップにしてください。