下手なコーチは初級に逃げる | 窪田テニス教室

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皆さんの技術向上のキッカケぐらいになればと思います。
内容は指導者向けかもしれません。
はじめての方はテーマ欄の「注意事項」をすべて読んでください。


若い(経験の浅い)コーチは、上級クラスをやりたがらないことが多いです。

クラブ側:「Aコーチ、次の期は上級クラスを担当してね」

Aコーチ:「えっ!無理です」、又は「その時間は都合が悪いので」といって逃げる。

こんなやり取りは何度も聞いたことがあります。

夏休みは毎年、近所のテニスクラブで高校生の合宿を手伝っています。コーチ数人でやるのですが、誰も上級クラスをやろうとはしませんね。

他のコーチに「好きなクラスを担当していいよ」というと、よりレベルの低いクラスか女子のクラスを選びます。(このお陰?で、私は男子の上級ができます)

私が10代の頃は、上級をやりたかった。上級を教えられるコーチに早くなりたかった。

「より上手い人を、さらに上手くすること」「経験が長い人(余計な知識が多い人)を、さらに上手くすること」が、とんでもなく難しいことはその頃から知っていました。

これに挑戦するのが好きでした。

初級クラスだと、どんなに下手な教え方でも生徒は「うんうん」と頷いて聞いてくれることがある。ちょっと上手いところを見せるだけでチヤホヤされることもある。

これがダメ。

コーチは何も勉強しない。教えるのが下手なことに気づかない。「初心者に対して、下手な動きの説明を自信満々でやるコーチ」そんな人が、そのままヘッドコーチになってしまうと恐ろしいです。まあ、普通かな。

上級はそうはいきません。

上級クラスの場合、動きの説明が下手だと、「何だこいつ。わけわからん。」と生徒は即時に無愛想になることが多いです。自分の実力がハッキリとわかるのが良い。

上級クラスを担当すると、教えるための練習、それから(生徒は上手いので)自分の練習にもなる。さらに給料までついてくるなら良いことばかり。

(「生徒のため」はもちろんですが)自分のためにやっているのにお金もらえるんですよ!これも含めて好きでした。

それを若いコーチに言うと「上級の生徒がやめてしまうかもしれない」と要らん心配をしていました。(内心は「やりたくない」「自信がない」「楽したい」のでしょうが、、、)

そのリスクはクラブ側が負っています。クラブ側は、あなたの実力を知っていて「上級クラスを担当しろ」と言っているのです。

それを断る?どういうことかな?普通の会社ではありえないことです。

良い機会だからやってみなさい。

やって打ちのめされることもあるでしょう。「下手なコーチが上級を担当したら、生徒がゼロになった」というのもありました。そのときに、「それでも、もう一度やりたい」と思える人間かどうか。

最初から上手くいくことなどない。

ちょっと失敗したぐらいで、「自分は初級専門のコーチになろう」などと考える人、「あのコーチは下手だから、初級ばかりやらせようというテニスクラブ」はナメています。

何かを習うとき、一番最初に何をどう習うかが大事です。

これを知らないと、そんな安易な考えになってしまう。

(初めてのことに対して)一番最初に教えてもらった動きは、その人のその後の動きに大きな影響を与えます。

色んな癖がありますが、最初に教えらてしまった癖(間違った動き)はなかなか抜けません

これを矯正するには、週に複数回のレッスンを長期間受けなければなりません。週一回のレッスンでこの癖を抜くのは困難です。頭ではわかっているが、身体が言うことを聞かないという状態がずっと続く。それぐらい大きな影響。私のレッスン内容のほとんどは、この癖を取る作業です。

初級こそ、教える能力の高いコーチが担当すべきなのです。

本当に生徒のことを思っているなら当然です。

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私がコーチとして働くようになって、最初に担当したのはGクラスでした(これはAからGまでレベル分けされているクラスの最も上のクラス)。火曜日のナイタークラス。

これはとても良い経験になりました。いつも「時間が足りない」と必死でした。実力不足を痛感できました。ここがスタート地点です。

あれから20年以上経ちますが、そのクラブで記憶に残っているレッスンは、そのクラスのことばかりです。

このクラスがやりにくかったことも覚えています。私は高校生の頃、そのテニスクラブに生徒として通っていました。私のレギュラークラスがそのGクラスだったのです。私がこのクラスを担当するようになって数人やめました。