過去記事「パワーの源」に、
[筋力は、身体の重みをパワーに変換するために使う。パワーのメインエネルギーは、身体の重さである。]
と書きました。
上手く動きたいなら、パワーが欲しいときだけでなく、
その変化の中に、下に向かって動き出すことができる身体の部位を、その都度探さなくてはなりません。
小さくても、短い時間でも良いから、下に向かう変化です。
いきなり上に向かって力を入れるのは厳禁です。
腕を上げるにしても、いきなり上に向かって筋力を使ってはダメ。
何かを上げるには、何を下に向かって使えば良いのか?と考えます。
例えば、タオルの端を持って、肩の高さまで腕を上げます。このときタオルは、ダラッと垂れています。
この状態から腕を一気に振り落としてください。その瞬間、垂れていたタオルの端は、鋭い速さで上がります。
「腕を下げると、タオルの端は上がった」ということです。
今度は、「自分の腕=タオル」で、「身体=腕」だとイメージします。
立って、腕は垂れている状態からスタートします。
身体を一気に落とした勢いを利用して、腕を上げてください。
身体が落ちたときに曲がった足は、作用反作用と伸張反射で伸ばされる。
これで、立った状態からいきなり腕を上げるよりも、楽になります。
下に向かって動くとは、休んでいるのに、身体は変化する(又は変化を促す)ということです。
良い動きは、どんなに単純な変化でも、このようなカラクリがあります。
過去記事「フォアハンドストローク1」を読んでください。
構えについて、「ラケットと腕が一番高くなったときに、身体は一番低くなるようにする」「動きたいなら、まずは身体が落ちているときに動かせ。」と書いています。
そして、その構えは、両腕とラケットを落とす(休む)ことによって、振り出せるようになっています。
さらに、振り出した腕は「身体からは離れる=高い」ということですから、休んでいれば、「落ちる=身体に近づく=元に戻る」ことになります。
動き出しから元に戻るまで、強い筋力は必要ない。
力を抜いて打つとは、下への動き(休み)の連続です。
このようにして、その他の動きも、下への動き(休み)を考えることが大切です。