私が幼い頃、両親は仕事(八百屋)で忙しく、遊んでもらうことなどまったくと言っていいほどなかったです。
どれぐらい私にかまってなかったかというと、彼らは、私が34歳になるまで、私がテニスをしている姿を見たことがなかったほどです。
いつもかまってくれたのは、祖父と祖母です。
彼らは、週に二日だけ、近所で植木屋をやっていました。
そのときはいつも遊びに行きました(いつの間にか手伝いになっている)。
祖父は、物の持ち方や箒(ほうき)の使い方を教えてくれます。
店の後片づけが終わると、そのまま祖父の家に泊まりに行きます(毎週末)。
そこでは食事のとき、勉強するときの姿勢を注意されます。
食事のとき、だらしない姿勢でいると、すごく叱られました。
勉強しているときは、「目が近い。もっと離して。」と言って胸を押し上げられました。なぜか、このときは優しかったです。
それから、昼間は、植木の手入れや、ゴミの焼却などをやります。
祖父と一緒にいると、いろいろなことをやらせてくれます。
私のような馬鹿なヤツにも理解できるように、丁寧に説明してくれる。(言われたことをウッカリ忘れると殴られる、というプレッシャーがあったので、私は必死でしたが…)
学校や塾に通ったり、水泳、空手なども習ったりして、たくさんの指導者に出会いましたが、祖父ほど教え方が上手な人はいませんでした。
「あ、この先生下手くそだ」って小学生の頃から思っていました。
先生を「怖い優しい」ではなく、「上手い下手」で区別していました。
祖父は、きちんと相手を見て(相手の理解できる範囲を予測して)、その人に合わせた説明をしてくれます。
これは、過去記事「アドバイスとは」の最初に書いた動きを正しく見るに通じることです。
これはとても大事です。
テニスを長い間やっていますが、師という人は誰もいません。
でも、教えることに関しての師は、祖父であると言えます。
(今日は祖父の命日です)