指導の上達 | 窪田テニス教室

窪田テニス教室

皆さんの技術向上のキッカケぐらいになればと思います。
内容は指導者向けかもしれません。
はじめての方はテーマ欄の「注意事項」をすべて読んでください。


一般のテニススクールに勤めているコーチは、技術を追求する(技術を教える能力を高める)のは難しい。

一般のスクールは、基本的にグループレッスンだからです。

どんなに効果的なアドバイスがあったとしても、それは生徒全員に有効ではありません。

そのときの、その人に関わらなければならない。

人数が多くなるほど、生徒一人に関わる時間は短くなる。

その生徒だけに対して、アドバイスしたくても、どうしても中途半端(他の生徒を無視する時間ができてしまうから)。

私は、自分でスクールをやっていますが、それとは別に、週一回だけアルバイトでグループレッスンをしています。

レギュラーメンバーは、だいたい4人前後です。

動き方の説明をしますが、それをできさせることは非常に難しい。

なぜ「非常に難しい」と思うのか?

それは、プライベートレッスン(1対1)のほうが、生徒を上手くさせた経験が圧倒的に多いからです。

ほとんどの生徒は、グループレッスンからはじめて、プライベートレッスンに分かれていきます。

もっと、技術を教えてほしいと思えば、当たり前だと思います。

(「上達よりも、楽しいほうが良い」という人は、グループにこだわりますが、そのほとんどは1年も続きません。よそに行きます。私は、褒め殺しなどはしないからね。)

グループレッスンでは、

・やったことがない動きを紹介する

・できていないことを知らせる

・できない原因を伝える

・良い動きを、頭でわからせる

・良い動きをするには、どうすればいいのかを伝える


というので精一杯です。

できない動きを、できさせるほどの時間はないし、できた動きを根付かさせる時間もない。

やりっぱなしということです。

「グループレッスンでも、生徒を上手くできる」という指導者は、天才か、勘違いしている人です(今までに天才を見たことはない)。

それか、プライベートレッスンをやっていないコーチ、又は、やったことがないコーチです。

例えば、数年間、厚いグリップでフォアボレーをしていた中年女性に、週一回のグループレッスンで、コンチネンタルグリップを定着させることができますか?

20年近く教えていますが、グループレッスンで、これができたことはほとんどない(ストロークのグリップがかなり薄い人ならできますが)。

一人ずつ、丁寧に、根気よく、コンチネンタルグリップを馴染ませていかなくてはならない。

ほとんどのスクールコーチは、これをやらない。

「どうして、グリップチェンジを教えないの?」とそのコーチ達に聞いたことがあります。

「教えてますよ。ボレーの説明をするときは、必ずコンチネンタルグリップで持つようにとアドバイスしています。」という返答でした。

それは、教えているのではなく、ただ「言っているだけ」です。

1球打たせれば、コンチネンタルグリップでやってないのがハッキリ分かるのに、どうして?(グリップの持ち方に、気づかない指導者は話になりません)

厚いグリップでやっているのに、放ったらかしです。

その生徒の「テニス歴、性別、年齢」を知ったときに、

・今のままでも、ある程度は打てるので、何も言わない(もう変わらないだろう、という勝手な判断)

・グリップを変えることで、逆に、できなくなるのが怖い(すぐに結果がでない、という勝手な判断)


それか、

・面倒臭い

・教え方を知らない


ということですね。

私は、グループレッスンでも、口うるさく言いますよ。

だって、ここが違うと、私の「ボレー、スマッシュ、サーブ、スライス」などの説明は、すべて間違いになってしまうからです。

それ以外にも、色々なことに関係します。

例えば、両手で持ったままラケットをセットするようにと教えています。

その理由の一つに、「両手で持っているほうが、右手を緩めることができるので、グリップチェンジがしやすい」というのがありますが、グリップチェンジしないなら嘘になります。

一つの教えは、他のすべてにも関係しているから、口うるさくなってしまう。

「生徒が多いので細かい説明はできない(細かい説明をしなくていい)」=「当たり障りのないことだけを言う」=「生徒を見ない(見なくてもいい、見ないほうがいい)」=やらない=「指導の上達なし」

「グループ=やりっぱなし」だと思っていても、「やらない」になったらダメですよ。

レッスンだからね(お金をいただいている)。

コーチは、技術を教えるのが仕事だからね。


技術指導が上手くなりたいなら、1対1のプライベートレッスンを継続してやりなさい。

単発ではダメです。

各生徒に継続してもらわなければなりません。

そして、

「1対1という最高の環境で、一生懸命やっても、生徒を上手くできない」ということを受け止めなさい。

生徒に対して、

・筋力がないから、できない

・運動音痴だから、できない

・下手だから、コーチのアドバイスを理解できない

・足が遅いから、できない

・癖があるから、できない

・球感がないから、できない

・スタミナがないから、できない


などと思うのは厳禁です。

自分の実力の無さを知ることからです。

これは、必ず経験するでしょう。

これを避けて、教える能力の向上は絶対にない。

言い訳できない環境での試行錯誤が大切です。

その環境は、一般のテニススクールにはない。

まずは、その環境作りです。