過去記事「ベストを尽くすとは」の続きです(これを先に読んでね)。
「ベストを尽くすとは、自分の理想を無理やり押し通すことではなく、そのときの、その状況に、順応するように努めるということです。」と書いてます。
そのためには、そのときの刺激の差異を知ることからです。
下手な人は、どうしても力が入ります。
はじめから良い結果を出そうとしなくてもいいですよ。
上手く動こうと努力する前に、上手く感じなければならない。
何を感じるのか?
まずは、重さの向き(鉛直方向)を感じることができる程度に動いてください。
例えば、腕を上げるにしても、ジャンプするにしても、下を意識した後にやる、又は下に動いた後に動き出すようにする。
これはレベルを問わず、参考にできることです。
その上、怪我をする確率はかなり低くなるでしょう。
下手な人は、自分が余計な筋力を使っていることに気づいていません。
いつも自分の動きを疑うことが大切です。
「下手だから疑うこともできない」というのは、わかりますよ。
だから、その疑い方を、これまでにたくさん書いてきました。過去記事を読んでね。
それから、
良い結果が出せても、疑ったほうがいいです。
上手くできる状態など長続きしません。
長続きしない理由は、「技術が間違っていた」ということだけではありません。
周りの状況が常に変化するように、自分の身体も常に変化するということです。
昨日の自分と、今日の自分は違います。
自分(意識)では気づかないだけです。
身につけた技術は変わらなくても、身は常に変わり続ける。
「身」には、成長と老いがあります。
それに、そのときのコンディション(食事、睡眠、緊張、疲労、怪我、病気、障害、やる気など)も、身に影響します。
だから、上手くなっても、毎日の微調整が必要なのです。
久しぶりにテニスをする人が、「感が鈍った」とよく言い訳します。
でも、そのほとんどは、身体が変わっただけです。
技術的な変化(後退)はほとんどないです。
「以前はできたのに、なんで?」「打ち方忘れてしまった」などと言っているテニス愛好家もいますね。
いやいや、あなたは以前からずっとその打ち方でしたよ。
テニスしていなかった期間で、筋力が落ちたのに(脂肪がついたのに)、以前と同じ感覚でできるはずはない。
以前の自分ではないので、当たり前です。
そんなときに、過去の結果を求めないようにしてください。
「以前はもっと~だったのに」などと考えない。
結果に差がでるのは、仕方がないことです。
いつも力任せに動いている人が、久しぶりに動くと怪我をしやすい。
筋力があるときの結果を、筋力が落ちたときに求めるからです。
そのときのパワーの差を穴埋めしようと力を振り絞り、無理やりやってしまう(このときの怪我が多い)。
これは、そのときの、そのままの自分を大切にしていない、ということです。
そのときにあるもので十分。(足るを知る)
「ベストを尽くすとは、そのときの、その状況に、順応するように努める」と書きました。
「その状況」とは、そのときの、自分の身体も含むということです。
「今日は、こうしたい」「前回よりも良い結果を出したい」と理想を求めるのではなく、「今日は、どんな感じですか?」と自分の身体に訊き続けながらやるのが最善策です。
これが、そのときの、そのままの自分を大切にするということです。
それに集中できれば(興味が持てれば)、「スランプ」「好不調」などはなくなります。
それらは、過去に対して、又は他人に対しての比較だからです。
「過去の自分と今の自分」「自分の結果と他人の結果」などを比べて、自分を追い詰めても何の解決にもなりません。
「焦る」「イラつく」「不安になる」「自分が嫌になる」というように、ストレスになるだけです。(それでも、やる気を維持できるという人は、こんなブログなど読みません)
毎回が、「新しい自分」ですよ。
私は、このことをテニスを通じて知りました。
生徒を見ていると、「昨日できたのに、今日はできない」「昨日できなかったのに、今日はできる」ということが毎回起こる。
たった一日で全く違う生徒になっている。
そのときの自分は、そのときにしかいない。
「万物流転」「諸行無常」ということ。
そんな「自分」に愛着が湧きませんか?
ベストを尽くすとは、過去の自分にとらわれず、今の新しい自分を大切にするということです。