百合子さん。 | クボタマサヒコ『クボリカワ書房』

百合子さん。

さいきん毎晩寝るとき、いつも一緒に過ごしています。

何度かココでも書いたりしてましたが、、


 
$クボタマサヒコ / BEAT CRUSADERS『クボリカワ書房』-fuji
      『富士日記』


いつも、眠くても数ページは読んでから寝るのが毎日の習慣。

以前、読んでる方のコメントもありましたね。

日記形式なので、お気軽なのです。


富士山の麓で暮らす、武田家の毎日の食卓、買い物、一風変わった旦那サマ(作家・武田泰淳)と娘さん、愉快な犬(バカで堪らなくカワイイ)、出会う富士の人達。

日々、ただご飯を作って運転して怒って家を修理して泳いでケンカして星を見てギター弾いて笑って。

そんな一見、いや一読、何の変哲もないような日常を綴った文章ですが、まさしく「いつも存在しているのに見えてない、もしくは見ていないコト」にごく当たり前に目を向けて綴られた言葉は、時にユニークで時に淡々としていて、過剰な甘さも痛みも伴わずに、すっとカラダの中に入ってくるのです。

そして時折ものすごくハッとさせられるコトバ(感性)が、不意に胸をうちます。

仕事で疲れていても、年甲斐もなくハシャいで帰ってきても、寝る前に百合子さんの日々の暮らしを追体験するだけで、いつの間にかココロがリセットされて穏やかな眠りに就けるのです。

季節が移りゆき、その少しずつ日々を当たり前に生きていく様は、とも言えば、いつページを開こうと、武田家が今この時間にも暮らしていて、同じ時代を過ごしているような錯覚すらおぼえます。

時に、読んでるその日と同じ日付の日記に出会うと、何とも言えない不思議な気分になるのです。


ごく自然に、時間も場所も超えられる穏やかな一冊、よかったらぜひ。