栄螺とDNA。 | クボタマサヒコ『クボリカワ書房』

栄螺とDNA。


きのうのキョウガクは皆さんご察しの通り、会津若松の<さざえ堂>。というわけで、きょうの記事は個人的嗜好性により長編なのでご了承を。


そもそもは、もう何年も前に高橋克彦さんの『星の塔』という不思議小説を読んでその存在を知り、それ以来ずっと想いを馳せていたのがさざえ堂。ストーリーの切なさと畏怖感もさることながら、そういう不思議な建造物が現存しているという事実に一番驚いたのがきっかけ。


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『星の塔』 高橋克彦


それが、いまついに目の前に。

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そう、これがその「さざえ堂」。いまから212年前に建立され、16mの高さの塔にはいっさい階段がなく、その名の通りらせん状のスロープを進むと他の参拝者とまったくすれ違うことなく、入り口と別の場所に出てくるという、いわゆる二重螺旋構造になって設計されている。


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・・なんだろ、このねじれたような違和感。


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これは交通手段もなかった江戸時代、遠い西日本までお参りに行けない民衆の為に、ここを一周(正確には3回転)するだけで三十三観音参りが完了するという画期的かつコンビニエンスなシステム(言ってしまえば通路のみで構成されてるお堂)として考案されたらしい。


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いよいよ、さざえの胎内へ。


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ご覧の通り、傾斜してる板に木の横枠がはまってるだけ。


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ぐるぐると右廻りに登っていく、なんとも不思議な感覚。


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そのスロープの途中、横に出現する謎の狭い空間。これはいわばDNAの二重螺旋をつないでる梯子部分にあたる通路。反対側にはまたスロープが見える。しかし、これはいま登ってきた「上り」ではなくて、これから先に通ることになる「下り」。要はここを通れば、軽く時制を超えてワープするわけだ。ここらへんからだんだん訳がわかんなくなってくる。・・もしココを通り抜けて下って、また次の横道に入ったら上って、それを繰り返すと、、つまり無限ループから抜けられなくなる・・?

この前でタロウと審議の上、通り抜けを断念。まだ時空の隙間に留まるわけにはいかないしね。確か『星の塔』でもこのモチーフがキーとして使われてたはず。

ちなみに、この通路の用途の真相は不明らしい。。


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そして辿り着いた最上階。中央に位置する太鼓橋は、そのカーブに気を取らせて、下りを意識させずに移行させるというカラクリとして機能してるらしい。


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これがさざえ堂の透視全容図。改めて見ても不思議な建物だな。・・でも考えてみるとこの二重螺旋構造、200年前の日本にDNAの概念があったとは思えないし、ただの偶然なんだろか・・? はたまたレオナルド・ダ・ヴィンチの設計図が遙かヨーロッパから渡ってきたのか・・謎は謎のまま。

たまにはそんな不思議に身を委ねるのもいいよね、ってことで。機会があればぜひ。。


クボタマサヒロ