バルセロナの邂逅 | 皆様ご機嫌いかがでしょうか 

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【久保田光彦オフィシャルブログ】 

12月2日にバルセロナから帰国した。”クラシコ”中継のための出張で、今回で現地へ行くのが3回目。日本中、イヤ世界中で注目されたといっても過言ではない試合は、1-0で地元バルサの勝利。熱狂的なスタジアムの余韻がまだ抜け切らないといったところです。

”クラシコ”とは、スペインサッカー・リーガエスパニョーラの、バルセロナ対レアル・マドリードの一戦のことで、他の試合と分けて特別にこう呼んでいる。よくサッカーで言われるところの”ダービー”とは根本的に違い、野球で例えるなら”巨人vs阪神”戦ということだが、スケールは比べ物になりません。

”クラシコ”の翌日には、日本代表の岡田監督とホテルで対談した。岡田監督も初めて生で”クラシコ”を観戦して、その迫力と興奮を引きずっていたのだろう、対談は1時間近く行われた。内容の詳細はここでは省くが、岡田監督はバルサのサッカーに自身の理想の形を見出しているように感じた。『哲学』という言葉を引き合いに出し、ただ単に勝つことよりも、どうやって勝つかに重点を置いた指導。私なりに解釈すると、勝つためのアプローチとして自分たちのサッカーをどう位置づけるか。熱くかつ楽しげに語ってくれました。

前後するが、”クラシコ”が終了して、打ち上げで近くのレストランでスタッフと食事をしていたら、なんととなりの席でイニエスタの両親・彼女・友人らが祝勝会を行っていた。しかもイニエスタ本人が途中で合流するサプライズ。少し興奮しましたね。別れ際に我々にも、手を挙げて軽く挨拶して帰って行った。気さくでシャイな好青年というイメージそのまま、とてもバロンドールで4位に入るスーパースターとは思えない、本当に目立たないどこにでもいる感じの人でした。

さらに前後するが、”クラシコ”の二日前には、去年に続いてクラシコ観戦ツアーのお客さんと、私と解説の北沢豪さん、それにWOWOWスタッフで懇親会兼食事会が催されました。今年は、インターネットでツアー参加者を募集したところ、立ちどころに予定数をオーバーしたとのこと。”クラシコ”人気の高さがわかろうというものだ。年齢も住まいも様々、新婚さんが三組いらっしゃいました。

そんな中、なんと元アントラーズのCB、奥野僚右選手の叔母さんがツアーに参加されていた。奥野選手はアントラーズ創設期のメンバーで、山城高校・早稲田大学を経てアントラーズに加入。Jリーグ初年度サントリーシリーズ優勝メンバーである。その後ザスパ草津を育て上げ、現在はアントラーズにコーチとして戻っている。

実は、私とアントラーズは縁が深く、カシマスタジアムの杮落しのゲーム・Jリーグ開幕のアントラーズ対グランパス・93年サントリーシリーズ優勝決定試合。いずれも私が中継を担当した。当時のGM・平野さんからは、「久保田さんが実況すると、鹿島が勝つ。」と言われたこともありました。私が今でも一番思い入れの強いチームは鹿島アントラーズである。その鹿島の取材で、奥野選手にはよく話を聞いたものです。まさかバルセロナで奥野君の叔母君にお会いするとは…!

今回の”クラシコ”出張は、試合内容はもちろん、いろんな意味で思い出深いモノとなりました。