窪田博士の研究室 -3ページ目

太陽光発電を詳しく検討

さて、自然エネルギーのエース太陽光発電、特に太陽電池はどうなんだろう?現在の所量産型の太陽電池の変換効率は単結晶で19%、多結晶で18%ぐらいがトップ性能だ。

ところで同じ太陽光でも太陽熱発電の場合には熱効率で38%ぐらいまでは到達する。また太陽熱発電は蓄熱する事によってある程度夜間電力に対応可能だ。

それでは太陽熱のほうが太陽電池よりも良いのか、というと一概にそうとも言えない。発電システム全体で考えた場合、発電装置やメンテナンス用設備の面積も必要だし、コスパを考えると耐用年数も含めて考える必要がある。

太陽電池の大きなメリットはプラントの構造が簡単な事だ。なにしろ板を張るだけなのでハッキリ言えばビニールハウスと大差無い。したがって建設コストはかなり安価になる。また効率が低いと言っても、それは面積あたりの直接のエネルギー変換効率だ。発電プラントや維持管理の設備も含めると太陽電池は殆どそういう設備が必要無いので実質的にはかなりの高効率になる。唯一の欠点は夜間電力だけれども、これは敷地に金属蓄電池レドックスフロー蓄電池を必要な分だけ設置して対応する事になるだろう。こんな場合でも太陽電池は蓄電池設備の屋根に貼るといった構造が可能でとても手軽だ。

また寿命も20年~30年と長く、可動部分が多くメンテナンスに手間のかかる太陽熱と比較すると長期コストはかなり安価になる可能性が高い。

太陽電池の効率はそろそろ限界に来ている。19%というとバンドギャップを超える光子のスペクトルのエネルギーを考えるとほぼ量子効率100%になる。ただ量子ドット電池というものが提案されており、これがブレークスルーになると最高60~70%程度が狙えるようになるという。

また資源的にも有利。太陽電池の主要原料であるシリコンはクラーク数二位で酸素に次いで地球上で最もありふれた物質だ。従って資源が不足する事はありえず将来に渡って製造コストは逓減してゆき、最終的には銅板以下の値段になってしまうのではないだろうか?

そんな訳で様々な自然エネルギーの中で太陽電池が最も発展性があるのではないかと思う。

(文:窪田敏之)

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ダイエット飲料でも太る? -人工甘味料の問題

ダイエット飲料を飲む人はその分量に応じてお腹周りが太ってしまうという研究結果がテキサス大学より発表され、ちょっとした騒ぎになっている。

なにしろ痩せるために飲んでいるのに効果が無いどころか反対に太ってしまうというのだ。

なぜこんなことが起こりうるのだろうか?

テキサス大の研究はその他の要因をあまり考慮していないスクリーニング的なものだ。それでもダイエット飲料がゼロ本の人と平均2本以上の人で腹囲が9年間で6倍以上!も違うのだからかなりいやーんな感じがするのは否めない。

実はダイエット飲料に含まれる人工甘味料は舌の上にある甘味受容体を刺激して甘みを感じさせている。この甘味受容体、実は体内でも使われている。特に血糖値制御の中枢である膵臓内のランゲルハンス島のα細胞も実はこの甘味受容体で血糖値をモニターしているのだ。

さて一体どんな現象が起こるだろう。

ダイエット甘味料を大量に摂取すると舌でも甘く感じるけれども、仮にこの物質が血中に入ったとするとランゲルハンス島もこれを感じ取ってしまう。すると本当は血糖値が高くないのに「血糖値が上がった」と間違ってしまう。そうなるとランゲルハンス島より血糖値を下げるホルモン、インスリンが分泌される。インスリンは血糖値を下げてこの糖分で脂肪分を合成させる!

なんと血糖値が低いのに太ってしまう事になる訳だ。これは大問題ではないだろうか?しかも血糖が下がるので非常に強い空腹感に襲われる。しかも一旦脂肪になってしまったカロリーを再び燃焼させるには糖分が必要だ。それに血糖は生命維持に不可欠なので血糖が下がった状態が続くと生体はたんぱく質→アミノ酸を分解してでも当座の糖分を供給しようとする。

たんぱく質でできているもの・・・それは内臓や筋肉だ。つまりダイエット甘味料にはカロリーは無い、しかし脂肪太りを引き起こし、空腹感を起こし、筋肉を痩せさせる。

ただでさえダイエット中は空腹感との戦いが熾烈になる。それなのに空腹感を増進する副作用に押されたら余程意思の強い人でないとダイエットに失敗するだろう。つまり「ダイエット飲料」の看板に偽りあり?の疑惑が。

なぜこんな酷い事態になってしまうのだろうか?これはダイエット甘味料が人体に対して「誤った信号」を送る物質だからで、働く方向によっては充分に毒性があるからだ。それでは太っても気にしない人は飲んでも良いのだろうか?いやそれでも危険性はある。というのもインスリンがあまり分泌されるとインスリンの効き目が低下する「インスリン抵抗性」になってしまうのだ。つまり糖分をとらないのに血糖のコントロール力が低下する事になる。またインスリンを分泌させられっぱなしになるランゲルハンス島も疲れてしまい機能が低下する。これが昂じると糖尿病に。

これって結構最悪だ。こんな酷い状況になるのであれば普通の砂糖が含まれたドリンクを少しだけ飲んだほうが遙かにマシではないだろうか?しかも人工甘味料は味もマズい。人工甘味料そのものの毒性以外にもこのように体内の内分泌系統を妨害する作用があるとなると、人工甘味料に対する評価を少し厳しくしたほうが良いかもしれない。

歯科的には人工甘味料は虫歯菌の餌にならず歯垢を作らないので虫歯予防には効果はあるはずだが、こんなに副作用があるのでは折角のメリットが目減りする。虫歯予防にはこういった人工甘味料よりもむしろキシリトールのような機能性糖アルコールのほうが優れているので、この意味でも人工甘味料の存在意義は低下する。腸から吸収されないタイプの甘味料であれば内分泌系の攪乱作用は少ないと思うので何とか可であるけれども。

ここで予測したメカニズムが本当に起こるかどうかは動物実験などで確かめないと確実ではない。でもダイエット飲料は美味しくないし灰色なので決着がハッキリするまで飲むのは止めておこうかな。

(文:窪田 敏之)

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今は流行らない核エネルギーで新しいネタ

思いついたんだけど、役に立たないかな?少なくとも今の日本では受け入れられないというのは良く判る。

核エネルギー発生装置のプランを立てるときに、反応断面積みたいに「神様の気まぐれ」で決まっているパラメータに大きく依存する。色々な反応が必要で、どれが一つ無くても最後の「エネルギーの取り出し」まで行かないのだから良く調べてみないと。

とりあえず、特許の絡みがあるので即公表する事はできないけれども、トリウム熔融塩をネタにして加速器・未臨界でちょっと面白いかもしれない原子炉を考えてみました。加速器駆動なので安全性は高くスイッチを切れば瞬間的に停止します。また全電源喪失しても暴走したりしませんし、放射性廃棄物の量が現在の原子炉より2-3桁少なくなる可能性があります。経済性があるかどうかはちょっと計算してみます。

ところで誤解の無きよう書いておきますが、私は原発推進派ではありませんし、御用学者でもありません。(なにしろアマチュア科学者で上司は自分自身ですし、お給金も誰からももらっていない)

でも偏見を排除してよーく考えてみると、放射性物質によるリスクよりもメリットのほうが大きいようです。それに原子力自体は人類の文明には普通に必要だと思ってます。既に皆さんも色々恩恵を受けているんですよ。

(文:窪田 敏之)

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