「この前はこんな仕事あってー」
「マジすかwすごいっすね!」
「いやいやそんでこうなってー」
「へー」
大衆居酒屋というよりかは少し洒落た感じの居酒屋で私はいつのまにか課長と談笑をしていた。
さっきまでの緊張感は何だったんだと私は安心しながら課長のグラスを掌で差し、
「次何飲まれますか?」
2杯目を仰いだ。
「ん…ビールかな」
なんか真剣な顔になられてるんですが…まさか…
そう思っていると、課長が私を見つめ、
で?
甘かった…。
課長は談笑を利用し、考えをまとめていた。こう来たらこう。脳内でロジックを組んでいたのだ。お客さんに先手を取られた時の対処として課長はこれを使う。
そして組み上がった際に目が変わるのだ。
課長がトップ営業マンである所以である。
「はい…退職を…」
「次は?」
「決まってま…」
「どこ?」
「~の子会社で…」
「営業?」
「いえ運用側で…」
「理由は?」
……………。
はい。わかった。
ようやく質問が終わった。
「まあ、しかしよくそんな仕事見つけたな。
お前には営業より合ってそうねw」
「人生てそうなんだよ。プラスはマイナスに。マイナスはプラスに向かう。」
「営業やってて苦手だった所はその仕事でプラスに向かうかもしれない。もちろんその逆もあるかもだけど。」
「だからそこでもしっかりやれ。」
※なんか文字に起こすと違う…。
ありがたい言葉を頂いた。
怒鳴られたり、裏切り者扱いされたりするのかと思っていた。
しかし、結果的に課長は背中を押してくれたのだ。
その後は世の中には無いビジネスは無いか?のテーマで酒を飲み私は帰路に着いた。
ほろ酔いの電車の中、様々な思いが溢れだし私は泣いていた。