「QさんはDragonAshみたいで素敵ですよ」


パスダさんが僕に言った言葉だった。
QuestionをもじってQさんと呼んでくれたのだ。

尊敬するパスダさんの言葉だったが、僕は腹が立った。

当時、DragonAshは偽物だという風潮があった。


kjにスタイルをパクられたと腹を立てたZEEBRAが強烈にkjを攻撃する楽曲を発表したり、DragonAshの楽曲は昔の人気曲をサンプリングしたものだったりとDragonAshを叩く傾向にあったのだ。
ZEEBRAらのグループ「キングギドラ」のkjを攻撃する「公開処刑」という楽曲が出た後、程なくしてDragonAshは活動休止していた。

それに似ていると言われたのだ。
言わばパクリのパクリ。

僕は腕を磨こうとその日からネットライムに打ち込むようになった



ある日、マイクリレースレに他のスレから来た人がいた。
その人は「ユーキー」と名乗っていた。
ユーキーのライムは今まで平和にリレーしていた僕達を批判するものだった。

「平和にマイクリレーしてんじゃねえ。自信のある奴は俺のスレに来い。ヒップホップとは戦うものだ。」と言った内容だった。

もちろんそのライムの後にちゃんとした挨拶文があった。

パスダさんもユーキーに賛同しみんなをユーキースレにも顔を出すように促した。

僕はユーキースレを探してみた。
掲示板は書き込みのあるスレが上に来るようになっている。
「ケツメイシ好き集まれ~」や「リップスライム好き集合」など。

そんな平和なスレからかなり下の方にユーキーのスレがあった。

スレタイは確か「Disバトル1回目」だった。

そこにはケツメイシやリップスライムを感じさせない血生臭いリリックが充満していた。



つづく