気になる未成道 横浜3・3・52栄千若線 | kubodiのちっとも新鮮でないネタ

気になる未成道 横浜3・3・52栄千若線

2020年6月訪問

 

栄千若線は、横浜市神奈川区の沿岸部を走る都市計画道路のひとつです。

 

 

横浜駅からほど近い、ポートサイド中央交差点から東に延びる道路が栄千若線となります。

 

 

 

 

しばらく行くと道幅は変わらないように見えますが、中央分離帯が大きく広がっていき片側2車線が1車線に収束します。

この場所にはかつて横浜市中央卸売市場への出入口がありました。

2011年の東日本大震災でダメージがあったようで、その後撤去されました。

海側に目を向けると、市場とそこへ向かう寸断された道が見えます。最高速度は20km/hだったようです。

 

 


道幅がやや狭くなり、歩道が消滅しました。そして行く手を阻むように正面には建物が現れました。
ただし山側の歩道は小さな建物に寸断されて間もなく復活しています。
横浜市行政地図情報システム「iマッピー」によると、この辺りでは山側の歩道とそれを寸断する建物は栄千若線の敷地から外れているようで、海側に拡幅されるようです。どうもこの辺りで栄千若線の道幅がやや狭くなるようで、山側の小さい建物は道路用地になることを免れたようです。
この辺りからは高島線と呼ばれるJRの貨物線と併走します。

 

 

 

国道15号線と横浜市中央卸売市場とを結ぶ中央市場通りとは、高島線と同じように立体交差となりそうです。

 

 

 

 

高島線には東高島駅という貨物駅があります。

どうも2005年度を最後に貨物の取り扱いが行われていないようです。

線路が数本枝分かれしていますが、栄千若線の敷地はは山側の線路の一部と重なっているようで、貨物駅としては縮小されます。

ただ高島線は東高島駅を境に鶴見方面は複線、桜木町方面は単線となっているので、貨物駅として廃駅になったとしても、当面は信号所としての機能は残ると思われます。

 

 

 

東高島駅にはかつては東神奈川駅からも貨物線が乗り入れていました。鉄橋の奥に見えるゴルフ練習場のネットに沿うように線路が伸びていたようです。

横浜線の貨物列車が減少し1959年に廃線となりましたが、その後60年以上にもわたり、この鉄橋は来るはずもない列車を待ち続けていました。

対岸ではすでに栄千若線の工事が始まっているようです。この鉄橋が姿を消すのも時間の問題です。

 

 

 

 

運河に沿ってしばらく進むと、千若町側の終点にたどり着きます。古びた倉庫街と近年建てられた超高層マンションとの対比が印象的です。


別ウィンドウで栄千若線の地図を表示します。
 

○変わり続ける横浜臨海部

 

みなとみらい地区の目と鼻の先にある栄千若線の沿線はポートサイド地区、コットンハーバー地区と呼ばれる地区で再開発が進み、港湾地区の工場や倉庫が建ち並ぶ街並みが一転、高層マンションやオフィスビルが建ち並ぶ街並みへと変貌を遂げました。

東高島駅の北側でも2020年現在、東高島駅北地区地区計画と呼ばれる再開発が行われ、この地区と東神奈川駅方面を結ぶべく栄千若線の建設工事が行われています。

 

 

 

現在東高島駅がある辺りには、江戸時代末期、開国を迫る外国の艦隊を追い払うため神奈川台場が建設されました。

神奈川台場の場合、艦隊への攻撃を意図して大砲が発射されたことはなかったようで、横浜港に到着した外国の要人を歓迎するときなど、祝砲として弾を発射していたようです。

1899年には神奈川台場は廃止され、大正時代には周辺の埋め立てが進みます。

1917年には高島線が開通しますが、1923年9月1日には関東大震災が発生し横浜の街は壊滅的な被害を受けます。

その翌年、震災復興を目的に東高島駅が開設されました。

埋め立てが進んだとはいえ、運河に囲まれた東高島駅は陸運と水運の結節点として機能しました。

台場が廃止された現在でも石垣で造られた当時の護岸が多く残っており、2012年には公園が整備されました。

明治維新、関東大震災といった歴史の重要なシーンに立ち会った神奈川台場の石垣はこの地域のシンボルとして、未来永劫遺していくべきだと思います。

 

 

 

今回の再開発に伴い、地区内の運河は埋め立てられる予定です。

物流の拠点から、「都心臨海部にふさわしい複合市街地」へと、転換を図る予定です。

栄千若線の整備は地区内部だけに留まり、中央市場通りとの交差部分は当面整備されないと思われますが、都市計画決定が2017年であることを鑑みれば、大変成長の早い道路であるといえましょう。


高島線の旅客線化を求める声も大きいようです。

具体化には至っておらず、今回の東高島駅北地区地区計画でも駅用地を確保していないようですが、もし旅客線化が実現し東高島駅も旅客駅に生まれ変われば、物流拠点だった場所に人の移動拠点ができ、完璧な土地利用の転換といえるのではないでしょうか。

 

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