この男エロにつき…
アデユ~ 久保新二 伝

寒い、雨…風の三段活用…早ぇ話、台風だよ(笑)

ロマンポルノで、第2の谷ナオミと騒がれていた麻吹淳子。第1回ピンクリボン賞、新人賞を受賞している。

色気があって、エラの張った顔、好きだったなぁ。
「大抵のSMシーンには慣れたけど、逆さ吊りだけは今でも怖いの」

と、額に脂汗をにじませながら言う。
杉加代子は、それが嫌で業界を去った。

西村昭五郎監督の「女教師縄地獄」のとき、4㍍もある天井に滑車が取り付けられ、緊縛師が淳子の両足にタオルを巻き付け、その上からロープで縛り上げ、ロープの先端をチェーンのフックに結ぶ。
男優がチェーンを引くと、スローモーションのように淳子の足が宙に浮く。

「ホンバーン」

の声とともに「体の向きが悪いなぁ」

監督がガ鳴る。
淳子の前バリが丸見えで色気がない。
麻吹淳子の逆さ吊りの顔が、見る見る紅潮し初めた。
助監が肩で女体を支える。前バリ部分はライトを暗くして見えないようにした。
カメラが回る。男がムチを振り下ろす。
淳子が海老のように全身を折り曲げて、のけ反る。
白い裸身がゆれる。
見てる方は、たまらないくらいゾクゾクするね。
…苦しげに肩で息をしながら芝居を続け、OKサインを待つ淳子だ。

しかし、頭を降り過ぎた、とかでNG。
その度に、また逆さ吊りが始まった。

「淳子は性格的には淡泊で、仕事に対する割り切りが早いから、SMシリーズの代表選手になれたんじゃないかなぁ…」

と監督…。
杉加代子サンは手首を縛り吊し上げだ。
いちいち、カット割りで上げたり下ろしたりだと、時間も掛かるので、手首を縛られたまま、ひたすら我慢で耐えた。

撮影が終わり、手首の痛みが治らないので医者で診察してもらったところ、神経が切断されていて女優業は無理と診断され、業界を去った。
今でも不自由だが、決して業界を恨んだりはしていない。 立派!

アデユ~