King Of Pink
久保新二物語
「好色 ピンク 一代男」

今日も生きてたか…

ハードコア…本番映画は、愛染恭子だけじゃない。
俺も出演している…

武智鉄二監督の「華魁」に出た時だ。
女廊部屋が七ツあって、一斉に本番やってるとこから初日のワンカット目が始まった。

松竹第2撮影所第2セットは異様な熱気と興奮に包まれ、それぞれカップルを組み肌を合わせている。

ある女優は、書生役の男優が緊張し過ぎて勃起しないので、セットの隅でフェラだ。
小柄な女は「好みじゃないも~ん」
とふて腐れてるし、中にはタンポン入れてる女もいれば、外人好きのK子は相手役が外人なので、テストから69で悶え巻くっている。
Y子はダイエツトのし過ぎで体のいたるところにシミが目立つ。
おまけに、Y子はお皿だ。
このお皿相手が故 漫談家の佐々木つとむだ。
テストでも「ヨイシヨ」 と橘家円蔵のモノマネしたり、高倉健、渥美清、鶴田浩二が一緒に麻雀するネタは面白い…。
セットの中は爆笑だけど、何なんだこの現場は…?

主役の親王塚貴子は大枚30万で相手役を買った、と言う男優としっかり絡んでいる。

俺は各カップルの体位や実技指導をしながら、俺の相手役の松原レイを愛撫しようと思ったら、突然生理がきて、俺の真珠入りの息子は血槍富士って訳だ。

一斉に本番やってる女廊と男達をカメラは移動車で撮る。
これだけのシーンだ。
セットの隅には、寅さんのスタツフが横一列に椅子を並べて座っている。
図々しくビデオを取り巻くってるヤツがいるので、注意した。
鈴木清順監督だ。こんな本番映画なんて、見せ物さ。

「本番映画の本番!よーい、スタート」

それぞれのカップルが動き出し、
「アハ~ン」 「アッ、ウーン」

移動車のカメラがゆっくり動き出した…そしたら、
「すいません、発射しちゃいました…」

当然カットだ。佐々木つとむだ。

「つとむ!この野郎…そのまま腰動かしとくんだよ、カメラは移動なんだから…」
すでに、ちゃんとシテるカップルがほとんどだ…
始まる前にブータレてた女達も、後半は恋人同士のセックスと同じように悶え、スタジオ内はヨガリ声が響いていた…
アデユ~