久保新二の
「シコシコメモリー」

今日も生きてたなぁ…。俺も正直言って、体調は余り良くないんだ…。毎日が死にもの狂いなんだ。
何処から見てもヤクザらしい客が一人できた。
恐持て風で俺も少し警戒しながら会話した。
頭はツルツルで眉毛もないので不気味な奴だ。
一見、ムショ帰りとも見える…
男はガンで、築地のガンセンターのカードや薬を見せてくれた。

何処迄のガンか詳しいことは教えてくれない…が凄く悔しがるのね。
一般的には、ガンは遺伝と聞くがそれはウソなんだって…

二年前にドカタ仕事で身体を壊し、休養してたんだって。
だるいし、食欲不信で仕事する気力も無く、とにかく全身がだるい毎日だった。

俺のあさはかな考えは間違っていたみたいだ。
ガンは遺伝だけじゃないって事が判っただけでも勉強になって、いい日だった…

抗がん剤で頭、眉毛が無くなっていたのだ。
帰り際にはお互い握手して別れたが、男は俺の優しさに 「ありがとう、ありがとう新ちゃん…」
と、深々頭を下げて別れた……。

明日は我が身…だ。
君達も、神経質にならず睡眠だけはきちんと、とれよ…。

アデユ~