偶像崇拝
彼女は彼女が起きてからある程度の時間が過ぎたころ、自分が何なのかが知りたくなり、沢山のクロンを造った。
気の強いクロンもいれば気の弱いクロンもいた。髪の毛1mmから造ったクロンは頭脳明晰であったが、血の一滴から造ったクロンは知能が芽生えなかった。
その内、彼女に賛同する多くのヒトが彼女の下に集い、研究を共にし、去り、独立し、死ぬを繰り返した。
様々な分野で彼女の子供達は生まれ育った。
あるクロンは王子に見初められ、あるクロンは独裁政権の強制収容所で死んだ。
その間ー彼女のクロン達が生きる間ー彼女は彼女のクロンを観察し続けた。
彼女の下に最初に集ったヒト達は彼女を畏怖し慕ったが、何世代も過ぎると何故最初に彼女の下に集ったか、ヒトは忘れだした。
そしてあるヒトが、彼女を細分化した。
ヒト達にとってもはや彼女は研究対象でしかなく、最初の理由を全て忘れさっていた。
そうして、それまでは彼女が彼女が生まれたままの姿形が保たれる程度に行われてきたクロンの製造が、変化した。
脚を切り落とし、其処から吹き出した血と、床に落ちた血から造られたクロンがまず始まりだった。
吹き出した血から造られたクロンは常に何かに叫び、怒鳴っていた。
床に落ちた血から造られたクロンは吹き出したた血から造られたクロンを椅子の足で殴り殺し、自分は床に頭を叩きつけて死んだ。
その後、今までに無いクロンが沢山生まれては死に、あるいは生き続けた。
彼女の形は崩され、最後には心臓と首から上を繋ぐものだけが綺麗に残された。
ヒト達は皆、彼女のこころの位置をこの2つに断定はしていたが、どちらに存在しるかはわからなかったので、重要なその2つの形を残していた。
それ以外は全て、彼女のクロンを造る事に使われるはずだったが、いつしか、貴重な彼女の躯は量り売りされたりして、当初の彼女は一体何なのかを探るヒト達は消えた。
彼女はただの珍重なものとしか認識されなくなっていた。
ヒト達は皆、彼女は死んでいると思っていた。
しかし彼女は生きていた。
彼女は自分が首から上と心臓だけになった時、初めてヒト達が憎くなった。
それまではただの躯でしかなかった彼女は、憎しみを感じるようになっていた。
そうして彼女は、自分の為に毎日水を持ってきてくれる子供の前で泣いてみせた。
すると、その子供は最初驚いたようであったがすぐに彼女の涙を拭い、彼女の心臓と頭を食べた。
けれど心臓を食べた時点で彼はもう本当はお腹がいっぱいだったので、彼女の左目を彼の遊び仲間のひとりに、彼女の歯を彼の嫌いな彼女のクロンに、彼女の耳を道端で66番目に出会った老人にあげた。
気の強いクロンもいれば気の弱いクロンもいた。髪の毛1mmから造ったクロンは頭脳明晰であったが、血の一滴から造ったクロンは知能が芽生えなかった。
その内、彼女に賛同する多くのヒトが彼女の下に集い、研究を共にし、去り、独立し、死ぬを繰り返した。
様々な分野で彼女の子供達は生まれ育った。
あるクロンは王子に見初められ、あるクロンは独裁政権の強制収容所で死んだ。
その間ー彼女のクロン達が生きる間ー彼女は彼女のクロンを観察し続けた。
彼女の下に最初に集ったヒト達は彼女を畏怖し慕ったが、何世代も過ぎると何故最初に彼女の下に集ったか、ヒトは忘れだした。
そしてあるヒトが、彼女を細分化した。
ヒト達にとってもはや彼女は研究対象でしかなく、最初の理由を全て忘れさっていた。
そうして、それまでは彼女が彼女が生まれたままの姿形が保たれる程度に行われてきたクロンの製造が、変化した。
脚を切り落とし、其処から吹き出した血と、床に落ちた血から造られたクロンがまず始まりだった。
吹き出した血から造られたクロンは常に何かに叫び、怒鳴っていた。
床に落ちた血から造られたクロンは吹き出したた血から造られたクロンを椅子の足で殴り殺し、自分は床に頭を叩きつけて死んだ。
その後、今までに無いクロンが沢山生まれては死に、あるいは生き続けた。
彼女の形は崩され、最後には心臓と首から上を繋ぐものだけが綺麗に残された。
ヒト達は皆、彼女のこころの位置をこの2つに断定はしていたが、どちらに存在しるかはわからなかったので、重要なその2つの形を残していた。
それ以外は全て、彼女のクロンを造る事に使われるはずだったが、いつしか、貴重な彼女の躯は量り売りされたりして、当初の彼女は一体何なのかを探るヒト達は消えた。
彼女はただの珍重なものとしか認識されなくなっていた。
ヒト達は皆、彼女は死んでいると思っていた。
しかし彼女は生きていた。
彼女は自分が首から上と心臓だけになった時、初めてヒト達が憎くなった。
それまではただの躯でしかなかった彼女は、憎しみを感じるようになっていた。
そうして彼女は、自分の為に毎日水を持ってきてくれる子供の前で泣いてみせた。
すると、その子供は最初驚いたようであったがすぐに彼女の涙を拭い、彼女の心臓と頭を食べた。
けれど心臓を食べた時点で彼はもう本当はお腹がいっぱいだったので、彼女の左目を彼の遊び仲間のひとりに、彼女の歯を彼の嫌いな彼女のクロンに、彼女の耳を道端で66番目に出会った老人にあげた。
多分続く [歪み]
世界が斜めだった。
あなたの脚から顔が、その先の空が雲が、私には見える。
真下からでは恐らくあなたの靴裏しか見えなかった筈だ。
私の目はどちらかといえば肉食獣の造りであったから、視界の在り方はあなたと同じ筈なので、まず位置を間違ているとは思えなかった。
あなたを下から、私は見ていた。
あなたは背中に太陽の光を背負い、あなたの顔や胸や膝小僧やらなにやらの体の臍がある方は太陽の光が強い分だけ黒く見えた。
だからあなたが私の思っているあなたなのかは確実ではなかったが、髪型や服装の感じやら雰囲気やら何やらを考えると、私の斜めの視界に映るあなたはやっぱりあなたの筈だった。
逆光で黒くなったあなたの、何故だろう。口だけが、白い歯と赤い舌をくっきりと、その黒いあなたの中に浮かび上がらせていた。
あなたの口は緩くあき、何か気だるげに言葉を発している最中に、再生を中止してしまった映像のように、止まっていた。
あなたは何を言おうとしたのだろう。
考えながら、私はあなたが背負う空を見た。
空は青く、少しだけ歪曲して見えた。
スプーンに映した世界のような、楕円だった。
あなたの脚から顔が、その先の空が雲が、私には見える。
真下からでは恐らくあなたの靴裏しか見えなかった筈だ。
私の目はどちらかといえば肉食獣の造りであったから、視界の在り方はあなたと同じ筈なので、まず位置を間違ているとは思えなかった。
あなたを下から、私は見ていた。
あなたは背中に太陽の光を背負い、あなたの顔や胸や膝小僧やらなにやらの体の臍がある方は太陽の光が強い分だけ黒く見えた。
だからあなたが私の思っているあなたなのかは確実ではなかったが、髪型や服装の感じやら雰囲気やら何やらを考えると、私の斜めの視界に映るあなたはやっぱりあなたの筈だった。
逆光で黒くなったあなたの、何故だろう。口だけが、白い歯と赤い舌をくっきりと、その黒いあなたの中に浮かび上がらせていた。
あなたの口は緩くあき、何か気だるげに言葉を発している最中に、再生を中止してしまった映像のように、止まっていた。
あなたは何を言おうとしたのだろう。
考えながら、私はあなたが背負う空を見た。
空は青く、少しだけ歪曲して見えた。
スプーンに映した世界のような、楕円だった。
mixi逝き [屍]
転がる人形[デク]
それは小さな赤毛の骸
群がる蛆はすくすく育つ
白い頬に黒い穴
ああ其処には眼がありました
可愛い蒼い眼がありました
私は幼い貴女の守人
この庭の主
名前はジェームズ
貴女が名付け親
私は幼い貴女の守人
年老いた広葉樹
腕にはロープ
貴女が遊ぶブランコの紐
低く狭い空 灰色の時間
ああジェームズ、悲しいわ
マリアが消えてしまったの
貴女は私に抱きつき泣く
マリア、マリア
貴女の声は呪文のよう
マリア、マリア
貴女は私に縋り泣く
マリア、マリア
貴女の隣人・赤毛のあの子
………マリア
私の足元に転がる人形[デク]
背の高い雑草の海原
貴女からあの子を隠す
蒼い眼はとろけ消え暗黒の闇色
白い肌は滅び引きつる肉繊維
私の周りの海原に
果てた骸が漂い腐る
あの子の名前はそう、マリア
私は人殺し
貴女は無垢
あの子は死体
私はジェームズ
貴女は幼子
あの子はマリア
マリア、マリア
記憶の彼方の貴女の歌声
マリア、マリア
灰色の時間の貴女の呪文
マリア、マリア
隠された骸の名前
マリア、マリア
腐り消えゆくあの子の名前
それは小さな赤毛の骸
群がる蛆はすくすく育つ
白い頬に黒い穴
ああ其処には眼がありました
可愛い蒼い眼がありました
私は幼い貴女の守人
この庭の主
名前はジェームズ
貴女が名付け親
私は幼い貴女の守人
年老いた広葉樹
腕にはロープ
貴女が遊ぶブランコの紐
低く狭い空 灰色の時間
ああジェームズ、悲しいわ
マリアが消えてしまったの
貴女は私に抱きつき泣く
マリア、マリア
貴女の声は呪文のよう
マリア、マリア
貴女は私に縋り泣く
マリア、マリア
貴女の隣人・赤毛のあの子
………マリア
私の足元に転がる人形[デク]
背の高い雑草の海原
貴女からあの子を隠す
蒼い眼はとろけ消え暗黒の闇色
白い肌は滅び引きつる肉繊維
私の周りの海原に
果てた骸が漂い腐る
あの子の名前はそう、マリア
私は人殺し
貴女は無垢
あの子は死体
私はジェームズ
貴女は幼子
あの子はマリア
マリア、マリア
記憶の彼方の貴女の歌声
マリア、マリア
灰色の時間の貴女の呪文
マリア、マリア
隠された骸の名前
マリア、マリア
腐り消えゆくあの子の名前
