元ダンナは人懐っこい性格であった。
「人懐っこい」と言うと子犬系とか柔和な
タイプを想像するかもしれないが、見た目は
いかついにも程があるといった感じだ。
スーツを来ているとそっち系に見えるというか
そっち系にしか見えない、いかつく大柄な男だった。
寝室は別々であった。
というか、元ダンナは飲んで遅くに帰ってくるので
子どもを寝かしつけて静かに寝たい私と生活は共に
できずリビングで寝ていた。
ガチャガチャ
あ、帰ってきたな。
ドン!
ドンズルズルー
ドタドタン!
ボンッ!
ドズン!
何の音(-_-)
せっかく娘寝かしつけたのに静かにしろ!
そして私も眠い。
・・・でも絶対玄関で寝てる気がする。
あーめんどくさい。
でもそこで寝てるとしたらもうすぐあのでっかい
いびきが始まる。
それこそ寝れない(*_*)
ちっ!(-_-メ)
死ぬほどめんどくさい。
ほーら、寝とる。
大の字で寝とる。
蹴り起こしリビングまで行かせる。
はぁー・・・眠い。
ガチャッ
うそやろ。
何寝室のドア開けてくれてんねん。
「お母さん。おかあさーーーん(小声)。」
「・・・何」
「俺もここで寝ていい?(小声)」
は?
ええほど飲んできて?
子ども寝かしつけて疲れ切って寝てた
嫁を夜中に起こして?
いびきの中寝ろと?
いびきで子ども起こせと?
呆れて何も言わない私だったが、聞こえてないのかと
思ったダンナは
「おーれーもー こーこーでー
ねーてーいーいー??(小声とはもはや言えない
でかい息の声)」
と、ジェスチャー混じりに、しかも嬉しそうに言っている。
あぁうざい。
ほんとにうざい。
「無理」
一蹴するとショボンとして出て行った。
3分後。
ガチャっ
殺すぞお前。
「お母さん、おかあさーーーん(同)」
「おーれーもー(以下同文)」
「やっと寝かしてつけて疲れきってんねん。
ほんま殺す」
私って小声でこんなドスきいた声出せるんやと
驚いた(笑)
下っ端じゃなくボスを怒らせた時のやつ。
音のでないピストル打つ前みたいなやつ。
またショボンとして出ていった。
3分後。
ガチャっ
頭おかしくなりそう。
人生で初めて思ったかも。
「おれ!おれここで寝るから大丈夫!!」
ええこと思いついてんといった顔で
ベッドとチェストの間に肌着とパンツの
腹の出た中年男が嬉しそうに横たわる。
なんでマンションってこんな明るいんやろ。
外の廊下の電気で嬉しそうな満足そうな顔
がめっちゃ見える。
油でめっちゃテカっとる。
真っ暗だったらウザさがマシだったかも。
いや、やっぱマシとかないわ。
狭い隙間にピッチリまっすぐ体はめて
嬉しそうに横たわってる。
何がそんな嬉しいねん。
寝かしてやったらええんやろな。
でもお前すぐでっかいいびきかくやんけ。
子育て中のお母さんの睡眠の重要さなめんな。
その後の記憶はあんまない。
とりあえずショボンとした顔をアピールしながら
ダンナが出ていって、でも今回は本気のショボン
だったから私は結構すごんだのかもしれないが、
ショボンとして出ていったということは殺しては
いない様だ。
私えらい。
という出来事をふと思い出した。
人が大好きで人懐っこかった元ダンナ。
人懐っこいと鬱陶しいは紙一重なんだろうか。
いや、やつだけかな![]()