独自性はマネから | 鬼頭 尚士のブログ

鬼頭 尚士のブログ

ブログの説明を入力します。

企業ではよく「独自性」が求められる。「独自性」を観念的に理解していてもいざ日常レベルでどう「独自性」を養ったらいいのかが悩ましい。

最近、画家ファン・ゴッホが日本の浮世絵を模写していたと知った。彼は日本の平面的な描写と西洋の写実的な描写の融合を試みたのかもしれない。また、彼は当時の点描画家スーラの技法も研究した。点描の点を筆をなぶりながら線にしたことが彼をファン・ゴッホたらしめるものとした。これがファン・ゴッホの画風となり独自性となった。

先般、ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏は、2002年に同じくノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏を尊敬しているという。彼は小柴氏に近づくべくその研究実績に寄り添った。その延長線上にあるのが梶田氏の研究となりその独自の成果が受賞につながった。

そういえば、筆者も大学時代卒業研究に入った当初、文献を読みあさり、文献にある実験の再現を試みたものである。科学者はまず先人の研究成果を学び、再現し、そこから新たなテーマを掘り出し発展させる。それが独自性につながる。

これらから言えるのは、独自性とは他人の「マネ」をどのくらいしたかに左右される。あるいは、マネをした結果、同じ哲を踏まないようにすることも独自性につながる。

たとえば、徳川家康は織田信長のような激情型を好まずじっくり構えることで天下をとった。また、豊臣秀吉の後継者育成の失敗から、子供を多く設け御三家を作った。

この考えは新規ビジネス開拓にも当てはまる。いかに現存する市場をマネ、そこから一歩進めて独自のものを生み出すかが大事だ。それには現場の情報にいかに多く接するかである。

自動車産業の材料軽量化は既存の鉄を良く知った上でその代替としてのプラスチック開発につなげている。

どんな偉業を成し遂げた人も必ず師匠がいてそのマネをすることで自身の独自性を生み出した。ある日突然、独自のものが天から舞い降りるわけではない。

人生、「この人はスゴイ」という人に必ず出会う。出会ったらどんどんマネをすればよい。師匠と決めてどんどんその哲学を盗む。これが結局は自身の独自性につながると思うのである。