というわけでさわやかウォーキング松坂も無事に終え、早めの腹ごしらえも済ませたところで(弁当ぐらいなら食べれそうな待合室あってよかったぁ)今度は名松線という松阪から伊勢奥津というところまで伸びているローカル線に乗っていきます。名松線の「松」は松阪ですが、「名」は名張という奈良県との県境の近くの都市です。つまり元は名張まで伸びるはずでしたが、現実は名張と松阪は近鉄が結んでいます。

車両はキハ11形の300番台です。JR東海の他の非電化ローカル線は3ドアのキハ75形及びキハ25形が使われていますが、名松線のみ民営化後まもなく新形式として導入されたキハ11形(と言ってもこの300番台は313系初期車と同時期の1999年製造。他はみんな廃車or譲渡)が継続使用されています。

 

車内はロングシートとボックスシートを組み合わせた座席配置で、ロングシートの部分はまんま211系5000番台と同じものです。なので奥行きのあって良好な座り心地も含めて中央線ユーザーからしたらどこか懐かしい感じも。

なお車内は満員とまでは行かないものの結構混んでいました。そのほとんどは先ほどのさわやかウォーキングに参加していたっぽい人や鉄オタっぽい人でした。さわやかウォーキングで松阪に来たからせっかくだから赤字ローカル線で有名な名松線にも乗ろう…という俺と同じ思考回路の人も多かったのですかね。なんていうか、昨今の赤字ローカル線存廃問題に対する世間的な関心の高まりが、少なからずこういう路線を訪れる人も増やしているような気がします。(それでもこの名松線はJR東海という業界の金持ち&優等生会社の路線である以上、そんなすぐに廃線になることはないかと)

 

この名松線は1両のワンマン運転を行っているという典型的な地方のローカル線です。(そりゃ似たような非電化路線が普通でも電車とクリソツな3ドア車両で運転されているからJR東海でこういう雰囲気が味わえるのは意外と少ない!?) 途中の家城までは比較的広々とした伊勢平野を走り、車窓の大半は田園風景です。途中の一志駅は一応ですが近鉄の川合高岡駅との乗り換えもできます。(停車本数は近鉄川合高岡の方が多い) なおこんな路線でも乗務員用時刻表は最先端のLCD(というかiPad)になっていました。

 

唯一気動車同士の交換ができる家城駅では15分ほど停車。せっかくだからいろいろ見学してきました。(余談だが名松線ではスタフ閉塞式及び票券閉塞式という、いずれも今の日本の鉄道ではめったに見なくなった閉塞方式が見れる)

 

駅舎のたたずまいは古めかしい雰囲気で好きな人には喜ばれそうですが、駅舎の建物の中は名松線の路線存続に力を入れる市民団体的な人たちによっていろんな写真が飾られていました。ローカル線を残すことに情熱を注ぐ人たちには素直に感動と。

 

名松線は家城から先が本番です。というのも家城~伊勢奥津間は2009年に台風被害で一度不通になっており、路線の需要の小ささなども踏まえると本来なら廃線になっても仕方なかったのですが、2016年に路線復旧が実現しています。この辺りが「JR東海は鉄道の使命にしっかり向き合っている」というネットでもよく見かける賛辞意見の具体例扱いされることも。それはまた次回ね。