電子書籍端末の登場により、消費者のライフスタイルは
どのように変革し、その結果どのような社会になるのか。
その解を探すため、本書を手にとってみた。
本書での学びは大きく3点。
アンビエント
プラットフォーム
ソーシャルコンテクストによるリパッケージ
■1)アンビエント
環境、偏在の意味。言い換えると、常に身近に存在し
使い勝手がよい心地よいもの。
音楽をアンビエント化したのは、iTunes。音楽を聴くための行動
プロセスを圧倒的に短縮化した価値は大きいと思われる。
今までは、音楽を聴くためにCDを購入しプレイヤーに挿入して
再生ボタンを押す。MDが登場しても、MDに音楽をコピーしたりなど
手間がかかっていた。
iTunesは、そのような手間は消滅しいつでもどこでも音楽を聴ける
環境を創造した。
本をアンビエント化するのは「電子ブック端末」、ゲームをアンビエント化
しているのは「無料携帯ゲーム」、仕事をアンビエント化しているのは
「スマートフォン(笑)」ということになるだろう。
ビジネスで成功する要素は、その時代における究極のアンビエント空間を
作り上げることだと思う。
■2)プラットフォーム
プラットフォームとして市場を支配するための3つのポイント
・多様なコンテンツが安く豊富にそろっている
・使い勝手が圧倒的によい
・アンビエントであること
上記の3つの戦略を元にアップルは、音楽業界のプラットフォームを
iTunesで獲得した。
キンドルのプラットフォーム戦略は、上記のアップルに真似たもの。
・多様なコンテンツが安く豊富にそろっている
書籍購入の可能数42万点(2010年3月時点)
・使い勝手が圧倒的によい
パソコンが不要であり、必要最低限の機能に絞られている。
・アンビエントであること
ハードカバーの3分の1程度の値段、9.99ドル。13ドルで仕入れているため、
一冊売るごとに3ドルの赤字を出している。
ネットワーク化。キンドルだけではなく、PC、iPhone等のマルチデ
バイスでコンテンツを表示することができる。
キンドルに対抗したアップルのエージェント戦略
販売手数料を30%に設定。アマゾンは65%の設定なので、圧倒的有利な条件設定。
販売価格を出版社側に決定させる仕組み。アマゾンは売価を一律で
決定しているので、さらに魅力的な条件となっている。
■3)ソーシャルコンテクストによるリパッケージ
アマゾン、アップルによる電子書籍プラットフォームが登場すると、
さらに多くの書籍が市場に流通する。
「ランキング上位」「タレントが絶賛」「有名著者が書き下ろした」といった、
マス的な打ち出しは消費者に響かなくなっている。
逆に、自分に関連する人、自分の価値観と共通する人の考え、
推薦により大きな影響を受けるようになる。それを用意にしたのが、
ブログ、SNS、Twitterに代表されるソーシャルメディアの登場。
マス的に書籍に定義付けされた意味・パッケージを、マイクロインフルエンス
(身近な影響者)のスクリーニングによりリパッケージされる。
自分の興味に近いリパッケージであるため、興味深くその情報を収集することになる。
興味のある方はぜひ!