現在、タロットと言えば占いと連想してしまうほどに占いのツールとしての市民権を得ていますが…
私自身タロットを使っていて、これはいつ、どうやってできたんだろうなぁ、なんてことを考えたりしていました。
タロットの起源は?と聞かれたらエジプト説、ジプシー説と様々あります。。。
これの発端は?
誰がタロットを考案したかは現在の研究ではまだ明らかではありません。
ですが、14世紀ごろからイタリアでトランプと同じようなゲーム用のカードとして普及していたそうです。
現存する最古のタロットは15世紀中頃のヴィスコンティー・スフォルツァ版と呼ばれるものです。このデッキは市販されているのでご存知の方も多いかもしれませんね!
ヴィスコンティータロット
記録だけならほとんど14世紀末のシャルル6世のタロットが最古になります。
ここでちょっと雑学を。
トランプとは実は和製英語で、英語では「切り札」という意味です。
じゃあ日本でいうトランプは向こうでは何と呼ばれているの?という疑問が浮かんでくると思いますが、海外ではトランプのことを「プレイングカード」といいます

では何故そんなゲーム用のカードが占いのツールになり得たか?
それは先程のヴィスコンティー・スフォルツァ版の頃よりも300年ほど時代を進めた18世紀末、時々このブログにも登場するフランス人、アントニー・クール・ド・ジュブランさんとメレーさん(詳細は不明)が「原始世界」というシリーズ物の8巻で、
タロットは古代エジプトの神官たちによって彼らの教義、叡智を絵で表現した本であり、彼らの図書館が火災にあった時、本からカードに変えられて持ち出され、それがジプシーによってヨーロッパに広められた、と。
また、ヘブル語への対応や、
神官たちが占いに使っていた
と

因みにジュブランさんがこのことを書いた根拠は



「タロットを一目見てすぐにわかった」
とのこと

今風で言えばチャネリング?
怪しい…
根拠ないんじゃない?
原始世界の抄訳
原始世界でメレーさんが書いた部分の抄訳
当時、ヨーロッパではエジプトは神秘の中心で、謎とミステリアスなベールに包まれた国でした。
巨大なピラミッド、スフィンクス、ミイラ、象形文字、煌びやかでみたこともないような形をした装飾品…
どれもこれまでヨーロッパ人が見たことがないようなもので、しかも素晴らしい文明を築いていて、痕跡以外からは何も知ることができない…
この構図、どっかでみたことありませんか?
これって今の五次元や宇宙や超古代に神秘を求めるのと似ていると感じるのは私だけでしょうか?
人は自分達がこれまで体験したことがないものや、未知のものに神秘を求める生き物なのでしょうね。
折しも科学が宗教から離れても、未だ神秘と現実が完全には分離することなく共存してごちゃ混ぜの時代…
なので、エジプトがどっから出てきたのかということは非常に理解しやすい話です

言うまでもないですが、
タロットのエジプト起源説は今ではほぼ完全に否定されています。
未だにそう書いてある書籍もあるようですが

さて、この「占いに使われていた」というところに目を付けたのは、フランスの商人、ジャン・バプティスタ・アリエット。
この人は占いには興味を持っていて、色んな占いのハウツー本なんかも出しちゃったりしていたようなのですが、この人こそ世界で初めての職業タロット占い師、エテイヤ(エテイヤ とはフランス語読みで、日本ではエッテイラと呼ばれることも)です

エテイヤさん
苗字のアリエット(Alliette)を逆から読む(アナグラム)とエテイヤ(Etteilla)。
エテイヤさんはジュブランさんの説を受けてさらに妄想し発展させ、タロットはヘルメス・トリスメギストスと17人の賢者(マギ)によって78枚の金の葉に書かれたものだったと。
ちょっと話を盛り過ぎ?
ヘルメス・トリスメギストス(ヘルメス・三倍偉い!という意味だそうです)というのはギリシャ神話に登場する知恵の神、ヘルメス神と錬金術師のヘルメス、そしてエジプトの知恵の神、トート神が合わさった伝説上(つまり存在しない)の神/人物で、数々の奇跡を起こしたとされてます。
エジプトとギリシアの神がどういう理由で混ざったのかはよくわかりませんが、とりあえず混ぜんなよと!
さらに現存のタロット(つまりマルセイユ版)は歴史の中で絵柄その他が大幅に改変されているという自説を展開するに至りました!
エテイヤさん家、大繁盛

さすがは商人、セールスというものがどうすれば良いのかをよく知っていた彼の占い屋は瞬く間に人がたくさん押しかけるようになりました

そんな中でエテイヤさんは本を書いたり、「トートの書の解釈会」などのサークルを複数立ち上げたり、弟子をたくさん作ったりと精力的にプロモーション活動した結果、ついに!
彼が妄想したところの「元の形」であると主張するエジプト風の絵柄のタロットカードを製作するに至ったのです

エッテイラタロット
これが今でも様々なバリエーションのものが出ているエジプシャン・タロットの原型です。
現在ではウェイト版が圧倒的にメジャー(もちろん当時はまだ存在してません)ですが、この頃のタロット業界ではマルセイユ版ではなく、エテイヤさんが考案したエジプト柄のタロットこそが本物と言われていたのですねぇ

もちろん彼の解説は根拠がどこにあるのかわからないフィクションであることはいうに及ばないのですが、画期的な要素がここで加えられています。
それは、
占星術と四大元素の対応がなされたということです!
エテイヤ さんのタロットでの対応を現在のものと比較すると言うに及ばず全く異なるものではありますが、これって今のタロットにもしっかりと引き継がれている要素ですよね

そしてタロットのブームに貢献した人がここにも一人…
エテイヤさんがタロットを販売し始める時から数えて約10年ほど前、故郷のアランソンを離れ、パリに出てきた一人の女性

マリー・アデライード・ルノルマン

そう、あのルノルマンカードのマドモアゼル・ルノルマンです!
マリー・アデライード・ルノルマン
ナポレオンさんとその奥さんのジョセフィーヌはお得意さんで懇意の仲であり…という話が彼女の自伝に書いてありますが、果たして本当にそんなに懇意にしていたのかは…よくわかりません。
というのも、ジョセフィーヌさんの秘書やその他の人たちから自伝に書かれたエピソードはでっち上げだ、とのクレームが噴出しているからです。
とりあえず、ジョセフィーヌさんの名前を出すことで、
ルノルマンさん家も大・繁・盛!
占い禁止令が出て、逮捕されることがあってもこれを宣伝材料に変えてしまうというくらいセルフプロデュースが上手い人ですから

そういえば数年前に今日本でもかなり売れてて本を何冊も書いている有名な女性占い師の方が、
「売れたかったら占いの腕よりもセルフプロデュース力よ
」
」みたいなことを仰られてましたっけ

そういうわけで売れたい占い師の皆さん、セルフプロデュース頑張ってください

こうしてタロット占い草創期の二本柱が揃ったわけです。
エテイヤさんがヘルメス・トリスメギストスを引っ張り出したりして根拠のない自説に沿って構造化した体系を用いたのに対して、ルノルマンさんの占いは真逆で、そんなもんは必要ないとばかりに直感的なものだったといいます。
こうして歴史を振り返って見ている私達にとっては
どっちもどっち
ですが

そしてルノルマンさんは神秘的な演出がうまかったと

確かにうまそう

今でも女性がドレスを着て手を上げてそこから光が…みたいな絵をよく目にしますもんね

こうしてフランス革命前後という不穏な空気も追い風となり、パリの都は占いブームに

これがタロットが占いに使われるようになったあらましです。
ほぼ19世紀の18世紀末からなんですよ、タロットが占いに使われだしたのって。
意外と歴史浅いですよね!
結構キツい話ですが、こういったことを頭の片隅にほんの少しでも留めておけば、タロットが持つ力に振り回されることも、自身の力を過信することもなく、常にバランスが取れたフラットな状態で占いに望むことができるでしょ

もしもこの話を知らず、タロット占いにハマって毎回足を運んでしまう方や、タロット占い師としてお仕事なさってる方がこの話を読んだらかなり衝撃を受けるかもしれませんね。
しかしご安心を!
この後、魔術師エリファス・レヴィによってセフィロトと結びつけられ、オカルト(所謂オバケとかじゃなくて原義の隠されたもの、つまり隠秘学の意)と「本格的に」結びついて、高等魔術のための道具として洗練、完成して行きます。
もちろん占いの方もこの進化のルート上にこっそり乗っかって、今度は1960年代、アメリカのイーデン・グレイさんという女性によって新たな道を示されます。
改めて読み返してみると、クール・ド・ジュブランがタロットを太古の叡智だと言ったのもあながち間違いではないように思えます。
何故ならこじつけと言われてしまえばそれまでですが、現在ではタロットはセフィロトと占星術とうまく割り振られて機能しているのですから!
ただ、彼の失敗は降りてきた発想を言葉に変換する際に当時のトレンドと自分の思い込みでもある神秘=エジプトという思いと安易に結びつけてその言葉を基に妄想に走ったこと。
もしかしたら「こんなのウソよ!だって私の占いは当たるもん!」と怒られてしまうかもしれません。
タロット、占星術共に未来を当てるためのものではありません。
「起こり得る」未来の可能性に対してどうすれば良いかを知るためのツールです。
前にも書いたかもしれませんが、もしも100%未来が決まっているとすれば、占い自体が無意味なものになります。
例えば、「A君とB君からコクられてるんですがどっちがいいでしょう?」なんてお客様が来られたとして、運命が決まっているものなら「カードで見たらB君の方が良さそうですね。」なんてアドバイスはあり得ないでしょ?
「あなたはA君と付き合うよう運命付けられてますからロクデナシでも根無し草でもA君とお付き合いしますよ」ってなりませんか?
こんなのだったらコインを投げて表か裏かで事足りてしまいます。
要は選択する自由があるということは道は一本ではなく、決まってない(ちょっと語弊がありますが、その辺はまたいつか)という前提が無ければ成立しないんです。
たまに
「タロットとかは好きだけどぉ、魔術って怪しいからちょっと…」
なんてお客様ならともかく、
そう言うことを平然と言う占い師
の方もいらっしゃいますが、
世間一般から見たらどっちも充分怪しいですから(自爆)
オラクルカードも同じ。
話は戻って、ここから歴代の魔術師達、
エリファズ・レヴィさん、
ポール・クリスチャンさん、
パヒュスさん、黄金の夜明け団関連の面々ーウェイト・スミス版のアーサー・エドワード・ウェイトさん
トート・タロットのアレイスター・クロウリーさん、
その他の数々の素晴らしい魔術師達によって理論づけられ、発展していく「タロット」はいくらイーデン・グレイさんによって占いの道が開かれたとはいえ、占術そのものも魔術なわけで、紛うことなき魔術道具ですからそれを使って占っているあなたは魔術を行なっている、と言えるのですよ!
そう考えるとタロットという道具に対する姿勢も変わってくるでしょ

ありがとうございました!




