ブログネタ：空にもうひとつ色が増えるなら何色がいい？ 参加中
今日もブログネタでショートストーリーを作ってみました
前回の「ショート・ショート⑱」は【捨てられないで困っているもの】でしたが、結果は「もの言い」だったんですよね～（笑）
めげずにやります！
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私のママはお空が大好きだった…。
ママと手を繋いでの散歩はいつも、近くの河原に行って空を眺めた…。
雲の形を食べ物や動物に例えてみたり、時には黙って空を眺める時もあった。
ママはよくその日の気分を空に例えてた…。
「紗菜ちゃん、今日はお空が泣いてるみたいね…。」
今日は雨だと天気予報が言っていた通り、今日は空に重たい雲が広がっている。
私はママの横顔をじっと見つめる。
「ママの方が泣いてるみたいだよ…。」
私の言葉にママは慌てて笑顔を作る…。今日のママはちょっと変だった…。
ううん…昨日の夕方、私が学校から帰って来た時から様子がおかしかった…。
でも、私はママに何があったのか聞けなかった。聞いたら、きっとママが困った顔をするだろうと思ったからだ…。
私のママは私が物心ついた時から、体の弱い人だった…。だから私の記憶の大半は、病室のベッドに座っているママの消え入りそうな笑顔で占められていた。
でも、この１年…。
ママは病院に入院することなくお家にずっといてくれている。
学校から帰るとママの手作りのおやつを食べ、そして一緒にお散歩に行く。
宿題も教えてくれるし、たくさんの絵も描いてくれる…。
ママは小さい頃、絵本作家になりたかったって話してくれた。
「紗菜ちゃんは大きくなったら何になりたいの？」
「私は…ママになりたい。ママみたいな何でも出来る人になりたい！」
そう言った私にママは笑っていたけど、そのうちママの顔から笑顔が消えた…。
私の顔をまじまじと見ながら、寂しい声でこう言った。
「ママみたいになっちゃダメ…。もっと体の丈夫な人になってね。紗菜ちゃんには健康でいて貰わなくっちゃ！」
あの時のママの顔を思い出すと、私の小さな胸は悲しい気持ちでいっぱいになる。だからもう、大きくなったら…の話はしないでおこうと決めた。
ママを悲しませたくなかったから…。
学校から帰るとママがいなかった…。
代わりにおばあちゃんが来ていて、ママが入院した病院に一緒に連れて行ってくれた。
久し振りに目にする病室のベッドに横たわるママ…。
青空の下で見るママとは違って、ママの肌はとても透き通って見えた。
「紗菜ちゃん、ごめんね。」
病室にやって来た私の顔を見るなり、ママはそう言った…。
私はママが今にも消えちゃいそうで、怖くなって、ママの手をギュッと握りしめた。
私の元気をあげたいって心から思ったら、涙が溢れて止まらなくなった…。
「紗菜ちゃん、泣かないで…。ママは大丈夫だから…ね？」
ママはベッドから体を起こし、泣いている私を優しく優しく抱きしめてくれた。
ママの体から微かにお日様の匂いがして、私はママとお散歩した日のことをたくさん思い出してた…。
病院の帰り道に見た空は、とっても澄み切った青空だったけど、私には物凄く泣いてるように見えた…。太陽が眩しかったけど、私には泣いているように見えていた…。
あれから半年…。
ママは病院のベッドから離れることはなかった…。
私はパパに一生のお願いをして、デジタルカメラを買って貰った。ベッドから起きれないママの為に、私は毎日お空の写真を撮った…。
病院の面会の時にママに見せると、ママは凄く喜んでくれた…。
どんなに辛い顔をしてても、その時だけは笑顔を見せてくれた…。
もう写真は何枚になったかな…？
ママの病室の引き出しには入りきれないくらいの空の写真が溢れていた…。
病室の消灯台の上にはママの大好きな写真が飾られている。
それは綺麗な虹の掛かった空の写真…。
「上手だね…」って嬉しそうに褒めてくれたママの顔が、凄く凄く綺麗だった。
「紗菜ちゃん…。今日のお空の色は？」
「うん、凄い青空！ママにも見える？」
「うん…見えるよ…。ママには紗菜ちゃんの好きなピンクのお空に見えるなぁ…。紗菜ちゃんが撮って来てくれたお空の写真には、紗菜ちゃんの優しい気持ちのピンク色が写ってるの…。」
「え～？ピンク色は見えないよ。」
「そう？じゃぁ…ママにしか見えないのかもね。優しい優しいピンク色…。」
そう言って優しい笑顔で笑ったママは、その日の夜に天国から迎えに来た天使達とお空に旅立っていった。
ママの大好きだったお空に…。
ママの魂は帰っていった…。
あれから私は今でも毎日、お空の写真を撮り続けている…。
青空も曇り空も…雨の降る空も…。
今日の空は綺麗な青空…。
ママもきっとお空で笑ってるんだね…。
あの優しい笑顔で、笑ってるんだよね…。
Fin
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