ずいぶん前に試写で観たのに
そういえばアップしていなかったと、いま気づいた
『レスラー』
ミッキー・ロークが復活したと大評判、
2008年度アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされました。
(ほかゴールデングローブ、英国アカデミー賞は受賞)
『レクイエム・フォー・ドリーム』などのダーレン・アロノフスキー監督作。
≪STORY≫
ランディ(ミッキー・ローク)は、ザ・ラムと呼ばれる
プロレスラー。
かつては雑誌の表紙を飾るほどの大スターだったが、
20年を経た今、ニュージャージーのドサ周り興業と
スーパーのバイトをかけもちしてギリギリの生活をしている。
ある日、ランディは試合のあとで心臓発作で倒れ、
医者から「リングにあがったら命の保障はない」と言われる。
たったひとりで生きるランディの孤独と絶望。
彼には娘ステファニー(エヴァン・レイチェル・ウッド)がいたが
自由に生きてきた彼は、親らしいことは何もせず、
いまは住まいも心も離ればなれだ。
好意をもったいるストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)
に心臓発作のことを相談すると、家族に連絡したほうがいい
と言われる。
ランディは思い切って娘に会おうと決心するが…。
≪ミッキーの生きざまを見せるミッキー・ローク映画≫
かつてはセクシーなスターとして世界中の女子をメロメロにした
ミッキー・ローク。
『ナイン・ハーフ』『ランブルフィッシュ』『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』
なんてありまたな。
しかし、ボクサーデビューし、日本でネコパンチを披露して、
物笑いの種になったあたりから雲行きはあやしくなる。
スター気どりの勘違い男になってしまったミッキーは、
俳優として結果を残せず、スター街道から転落。
愛犬だけが心の支えの生活をしていたそうな。
そんな彼の生きざまそのものが映画になったような『レスラー』
ブロンドの長い髪、肉体美とはほど遠いブヨムチの体、
整形を繰り返したせいか?なんだか腫れたまぶた、むくんだような顔。
男前でブイっと言わせたミッキー・ロークの姿は跡形もなく。
でもこの映画では、それが効果的だった。
成り下がった男が自分を見つめなおし、「お前はもうダメだ、やめろ」
と言われても、リングに立つ。
死ぬぞ!と言われて、ちょっと悩みつつも、自分の生きざまを全うする。
家族もない、恋人もいない、たったひとり。
でもこの世界で生きる、ここしか俺の生きる場所はない!と
闘いの世界に身を投じるランディは、そのままミッキー・ロークなのだ。
演じる本人の生きざまがそのまま、映画に投影されているので、
胸を打つ。
特にスター時代を知っているだけに、ああ、戻ってきたんだな
これぞカム・バックだと。
ミッキー・ロークファンでもなかったけど、なんか涙がチョロリ
プレス資料によると、この企画、
アロノフスキー監督は、最初からミッキー・ロークを考えていたが、
スタジオ側がイエスと言わず、ニコラス・ケイジを押してきたそうな。
おいおい
でも監督はガンとして譲らず、製作費を減額されても、ミッキーを
選んだそうだ。
素晴らしいね、アロノフスキー監督。そういう頑固さ必要だよね、監督には!
観ていると、低予算映画の雰囲気ムンムンだが、
それがかえって、映画の力をなっているように思う。
ドン底から這い上がってきた男のパワーが、ざらついた映像の中で
リアルに映し出されているのだ。
いやいや、この1作でミッキーがまたスター街道をバク進かどうかわからぬが
この映画はきっと語り継がれる映画となるに違いない。
ミッキー・ロークを語る上でなくてはならない映画になっただろう。
●『レスラー』( 6月13日よりシネマライズ、TOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル池袋ほか公開/配給:日活)
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