ペネロペ・クルスが2008年度のアカデミー助演女優賞を受賞した
ウディ・アレン監督作。
もう試写室はとんでもない大混雑でしたの。
期待も高まるってもんじゃーありませぬか
≪STORY≫
ひと夏のバカンスでアメリカからバルセロナへ来た
ヴィッキー(レベッカ・ホール)とクリスティーナ(スカ
ーレット・ヨハンソン)。
ふたりはとあるレストランで画家のファン・アントニオ
(ハビエル・バルデム)にオビエドに招待された。
ファン・アントニオは画家で、以前画廊のパーティで
見かけた男。
ふたりが滞在するヴィッキーの親戚夫婦の妻(パト
リシア・クラークソン)から、元妻とドロ沼離婚したば
かりと教えられていたので、堅実なヴィッキーは警戒!
でも、奔放なクリスティーナは興味を持ち、結局、
週末のオビエドの旅に行くことに。
オビエドでは観光、食事、快適な時間を過ごす。
もともとナンパ目的だったファン・アントニオは
ふたりをベッドに誘うが、婚約者のいるヴィッキーは
断固拒否。クリスティーナだけはついていく。
ところが具合が悪くなり寝込んでしまう。
翌日、寝込むクリスティーナを置いて、観光に
出かけるヴィッキーとファン・アントニオ。
あれほど警戒していたヴィッキーだが、
ファン・アントニオの口説きに落ちてしまい、なんと
一夜の関係を持ってしまい…。
≪男女のウダウダの恋愛関係≫
ハビエル・バルデムはハンサムじゃないんだけど、
なんかエロい感じがしっかりあるので、
こういう役は似合う。
ファン・アントニオはもう女性が好きで好きでたまら
ない男。それも決して上から目線ではなく、女を
もてあそんでいる感じはない。
しっかり楽しみたいし、相手を楽しませたいという気持ち
が伝わるから、プレイボーイなのに、なんか憎めない
のだ。こういう人いるよね~。
だから身持ちの固いヴィッキーでさえ、あっさり陥落して
しまう。
でも堅実ゆえに、婚約者がいるのにファン・アントニオが
忘れられなくなり、混乱しちゃうヴィッキー。
レベッカ・ホールの地味な雰囲気は、この役にあっていたが
もうちょっと、コミカルだとよかったな。
お堅過ぎておかしいというのが、この役の狙いでは?
アレン映画に必要不可欠なユーモアのセンスが
彼女に感じられず、おもしろみに欠けていた感あり。
奔放なクリスティーナ演じるスカーレットはのびのび。
でもいつもの彼女のイメージのままなので、
すっごくセクシーでかわいいんだけど、イメージを覆す
ような驚きはなく。
きっとウディ・アレンはこういうスカーレットが好きなんだな
やはりいちばん迫力あったのはペネロペ。
後半突然、彼の前に現れるや場面をさらうさらう、
ファン・アントニオの元妻マリア役。
ドロ沼離婚も彼女ならありでしょうってくらい、
生きる凶器みたいな女。
ものすごい早口のスペイン語で
しゃべりながら血吐くんじゃないかってくらいの激しさに
圧倒されたわ!
やることなすこと規格外で、みんなが振り回される。
でも芸術を見る目はあり、正直な女性だというのが
次第にわかってくる。
ごまかしがきかないから、ちょっと曖昧なことになると
凶器と化すわけだ。
同じ女として、第三者的に観ているとおかしいが、
友達にはなれない、ついていけない~、
かかわると殺される。
ファン・アントニオも彼女にはお手上げ。
基本的に女性に冷たくできない男で、ちょっと優柔不断な
一面が、マリアの登場で見えてくるんだな。
人間っておもしろいね。
こういうところアレン監督はやっぱり巧い
正直、もっとガハガハ笑えるかと思ったけど
そうでもなかった。
でも、彼らのウダウダの恋愛関係は
恋に落ちた男女の滑稽さを浮き彫りにしていて、
もしかしたら、1度目よりも
2度目のほうが楽しいかもしれない
と、あとから思ったりした。
でもクスクス笑いは多数あり、ペネロペ出てきてから
物語が加速し、締まったと思う。
そうそう、あと2点。
ヴィッキーの婚約者のダグ(クリス・メッシーナ)の
ボンボンぶりは、ファン・アントニオと対照的、
鈍感ぶりが
&街を描くのが得意なアレンらしく、
映画でバルセロナ観光できちゃうのも楽しい。
でもそろそろニューヨークに戻って、映画撮ってほしいなと
思ったりもしましたな~。
●『それでも恋するバルセロナ』(6月27日より、丸の内ピカデリーほか全国公開/配給:アスミック・エース)
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