NHKのドラマで放映されたときに観て、毎週これほど楽しみになり
夢中にさせられたドラマはない!と当時思っていた
「ハゲタカ」。
映画化と聞いて、楽しみな反面、大丈夫かしらん?という気持ちも。
ドラマの映画化って、たいていドラマを観ていた人にしかわからない
展開になっていて、ガッカリすること多いから。
成功したのは「踊る大捜査線」くらい??
でも鷲津が帰ってくる!のは、ドラマファンにとって朗報です
≪STORY≫
日本企業を次々買い叩き、かつて勤務していた銀行の先輩・柴野
(柴田恭平)とバトルを繰り広げてきた天才ファンド・マネージャーで、
ハゲタカと呼ばれた男・鷲津(大森南朋)。彼は、日本に絶望して
海外へ。
そんな彼のもとに、現在アカマ自動車の役員を務める柴野が訪ねてくる。
彼は、中国系巨大ファンドから買収される危機にある、アカマを
救ってほしいと言う。
アカマ買収に乗り出したのは、中国の赤いハゲタカと言われる、
劉一華(リュウ・イーファ/玉山鉄二)。
友好的な条件を出す劉だったが、その真意は?鷲津はどうする?
≪投資、株、わかんな~い人も心配ナシ!≫
投資、ファンド、もろもろ経済通でないとわからないのでは?と思う人、
心配なし!
私も全然わからないし、いまもわからないけどでもこの物語は
ドラマのときから堪能してきまして、今回もしっかり楽しみました。
なぜか。それはやはり登場人物のキャラクターが際立ち、
人間関係がしっかり描かれ、
個々の人物の明暗がリアルに映し出されているから。
物語の基本は買収、阻止、買収、阻止とたたみかけてくるサスペンス。
その中で男たちのドラマがガッチリと描かれる。
≪連ドラのときの説明はどうなっている?≫
鷲津はかつて良識ある銀行マンだったが、
小さな工場のピンチに貸し渋りをし、工場主を自殺に追い込んだことが
彼に影を落としている。
この工場の娘が、ニュースキャスターの三島(栗山千明)。
また鷲津の買収で旅館を失い、亡くなったオーナーの息子・西野
(松田龍平)など、
柴野以外にも、ドラマで活躍した人物は映画版でも登場。
私はドラマを見ていたので、彼らのプロフィールは頭に入っていたが、
初めて観る人はどうだろう?
映画の中で、三島の過去は劉が調査する形でうまく処理していたが、
西野のついてはちょっと?かも。父親を死に追いやったのだから、
本来なら恨んで当然の鷲津のサポートにまわっている西野。
ふたりの間で何があったのか、
もうちょっと説明あってもよかったかもしれない?
≪いまの時代を映しだした映画≫
とはいえ、今回は鷲頭VS劉のバトル。
アカマ買収スレスレで、ホワイトナイトとして鷲頭登場。
かっこよくマーケットに戻ったはいいが、
中国側の巨大資金力に圧倒され、いきなりピンチに陥る。
お金が潤沢にある方に株主は流れる。
本気で自分が投資した会社を再建し、
よりよい会社にしてもらおうなんて心はなく、
日本の会社が他国の手に落ちてもかまわないのだ。
それっていまの時代を反映?
その後、鷲津の作戦はじっくり練られ、相手の出方を見つつ進んでいく。
それがどんな作戦か。
ときにリーマンショックで不況のドン底に陥った現代にも通じる事件が起き、
派遣労働者を利用する組織の暗部もあぶりだされる。
真山仁の「レッドゾーン」を原作にしつつ、いまを映しだした脚本は、
経済不況の影響で、これを反映させるべく、
構想練り直し,完成にたどり着いたものだそうだ。
≪役者みんなよかよ~≫
役者は渋い面々が勢ぞろい。
大森氏、柴田氏を観ていると「ハゲタカ帰ってきた!」とワクワクする。
そして中尾彬氏の銀行の重鎮らしい貫禄タップリの芝居、ノ
ラリクラリとした西野を演じる松田氏も脇役ながら重要なポジション。
今回登場する玉山鉄二氏、
アカマ自動車のオーナー遠藤慶一氏のキャスティングもズバリはまった。
中国側が送った若きエース、劉の過去もこの物語の核。
物悲しい暗い目を見せる玉山鉄二、大健闘でではありませぬか。
ミーハー的には、やっぱり大森氏はメガネ似合うな~と惚れぼれ。
メガネ男子好きにもオススメ
●『ハゲタカ』(6月6日より、全国東宝系にて公開/配給:東宝)
(C)2009 映画「ハゲタカ」製作委員会