48宅からバスで帰ろうとしたらバス代ちょうどなかったことに気づいた

ちょうどの小銭を持ってない=バスに乗るなという神のお告げだ

ってことで歩きで帰ることに
近くのコンビニで用を足し、こないだ半分までしか読んでなかったマガジンを立ち読み、申し訳程度にコーヒーを買って出ると大雨がオレを待ち受けていた

バス停は通り過ぎたし歩くしかない
しかし足元には大量の水溜まり
どんどん靴に、靴下に浸水していく水
足取りは重く、上からは傘では抑えきれない雨がさらにオレを襲う

じわじわと下がっていくオレの体温
あぁ…サンクタムでヴィクトリアはこうやって体力が奪われていったのか…

オレはそんなくだらないことを思いながら気を失っていた

目を覚ますとそこには見知らぬ天井
まさに碇シンジ状態
あまり回らない頭をフル活用してようやくそこが誰かの部屋だと認識した

「やれやれ、帰って明日のバイトの準備をしなくちゃな」オレは苦笑しながら呟いた
起き上がって伸びをした時、オレはふと気付いた

「あれ・・・?あいりんがいる・・・?」

ベッドから飛び出したオレが目にしたのは、オレの視界を埋めつくさんばかりのあいりんだった

千切れそうなほどにゆたか(カエル)が振られ、地鳴りのようにピノキオ軍が響いていた

どういうことか分からずに呆然とするオレの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「ベイユー、握手会だ、早く行くぞ」声の方に振り返ったオレは目を疑った

「あ・・・あいりん?」
「なんだハゲ、居眠りでもしてたのか?」

「あ・・・あいりん?」
「なんだベイユー、かってにを卒業させやがって」

「あいりん・・・」
オレは半分パニックになりながらあいりんを見上げた

あいりん、あいりん、あいりん、あいりん、あいりん、あいりん、内川、あいりん、あいりん
暫時、唖然としていたオレだが、全てを理解した時、もはやオレの心には雲ひとつ無かった

「できる・・・握手ができるんだ」

鞄から引換券を取り出し、会場へ全力疾走するオレ、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、病室で冷たくなっているオレが発見され、村田と吉村は病院内で静かに息を引き取った