もうかれこれ30年以上前に私がデヴューさせたハムバッカー。
私が当時GRECOと深く関わっていたのは周知の事実、
別に隠すような話ではないので有態に書いてしまおう。
当時GRECOを製造していたのは富士弦楽器、現在の
FUJIGENだった。嘱託として開発や改善を行うため
頻繁に松本まで出張をしていた。
体力が違う、若かったんだね(笑)
私の要望を一番理解し、協力を惜しまなかったのが
この尊大で唯我独尊の私を以って最高のエンジニア、
と敬意を込めて賞賛したい 「努力する天才」 牛丸氏である。
牛丸氏は木工のみならず、電子関連でも知識深く
あのGRギターシンセサイザーを開発した事でも
判るようにその才能はダントツであった。
牛丸氏と新しいピックアップの試作を開始したのは
1979年の初夏である。松本の水田が稲の緑に
覆われていたのを今でも鮮明に記憶している。
一週間の出張でこれに取り掛かった。
嫌になるほどの打ち合わせの末に
出来上がったピックアップは外見上
普通のハムバッカーだったのである(笑)
これを私達が試作したオリジナルシェイプの
ソリッドギターにマウントし後日神田商会に
送ってもらったのが一号機だった。
これがあらゆる部分で大忙しになる発端だったのだ。
(以下次回)