私は、来世には何になりたいだろうか。

今世を生きるだけでもしんどいのに、また生まれないといけない?という気持ちと、いっそ人でないものに生まれ変わったら楽しいのではないかという気持ちが戦って、未だに答えが出ていない。

そもそも、私に来世があるかは分からない。しかし、前世での記憶がある話もきくので、自分がまた生まれ変わる可能性も0ではないだろう。

自分の願いは叶えられないかもしれないが、何も考えてないよりは多分ましかなと思う。傲慢だよね。自分の思い通りになる可能性は低いだろうに。

とはいえ、人間に生まれ変わりたいって、相当今世が楽しくないと考えないような気もする。人として生きるのは大変過ぎると感じるから。とはいえ、気付く。来世こそしたい事があったり、自分が希望している職業につきたいから、また人間に生まれ変わりたいという話もあるのか。

それでも、「来世にはお煎餅屋になりたくて」と歌うのは五十嵐隆だけだろう。



前置きが長くなってしまった。
私の好きなバンドである、Syrup16gの曲について勝手に感想を書いていくブログ記事第2段。
今回は「In My Hurts Again」という曲である。とても好きな曲だから、書きたかったんだよね。個人的感想である事はご容赦願いたい。

不気味なようで明るいようなイントロから、この曲は始まる。曲が始まる前から、非日常感を感じるのは私だけだろうか。
そして、「大気圏の中で暮らしている 何処に居ても宇宙服を着ている」という歌い出し。これだけだと、架空の世界の話にも見える。
しかし「会話らしきものを交わしている 対峙を避ける無関心がルール」という歌詞が続いたことで気付く。
おそらく、コロナ禍になってから、いつもとは違う日常を送る事になったことの例えなのかなと。マスクが宇宙服かな。今はマスクが義務化されてないから、宇宙服を取り外して少しでも息はしやすくなっていると良いが。

ラララララーラと歌った後に「in my hurts again 」と歌うんだよね。
曲名を直訳すると「また傷が付いた」 って訳だが、コロナ禍によって、また自分の傷みが復活したってこと……?五十嵐に取っての「傷」って何だろう。そういえば、再始動時「hurt」っていうアルバムを出していた。意識している部分があるんだろうなきっと。コロナ禍で環境が変わって、実質再出発状態→傷 ということなのかね。やり直すって大変だもんな。

その後「大至急 迷子を救って 偶ぐる」という歌詞が続く。
最初、歌詞なしで聞いた時、迷子を救ってぐるぐるって聞こえた()偶ぐるは多分、Googleだと思うんだけど。どこに行けばいいか分からずぐるぐる迷って、行き先をGoogle先生に訪ねてる姿が思い浮かぶんだよな。
そんな困った五十嵐を導くのは、一匹の蝶。
「紋白蝶に誘われてパラレル」
こうして、五十嵐はお煎餅屋になる世界線へと行くのであった……って何の話だ。紋白蝶にも何かしら意味はありそうだけど、私には分からぬな。
まあ現実的にみたら、再出発で手探りの状態→パラレル世界へいきてえなあと現実逃避 って所か。
五十嵐が選んだ逃避先。それは、バンドマンとはかけ離れた職業だった。動物ではなく、人間として生きたいと思うのが素晴らしいと感じるけども
「来世にはお煎餅屋になりたくて お砂糖とお醤油が奏でる至高のマリアージュ」
なんと、彼は煎餅をつくって売る人になりました。想像してみたけれど、意外と似合うんじゃないですかね。
しかし、お砂糖とお醤油が奏でる至高のマリアージュ??可愛い歌詞と思ったのは私だけだろうか。お煎餅・お砂糖・お醤油と、ご丁寧に「お」が付いているのがポイント高い。
だが、そこで終わらないのが五十嵐隆。
「一生は平らで ひっくり返して なお 一瞬の怠惰で 全てを失うかも」
安定してるなあとよそ見をしてたら、煎餅をひっくり返すのに失敗して、商品も売れなくなって辞めることになっちゃった。切ない。
もしもの話なので、最後に「かも」とついてはいるんですが。それでも、現実逃避でさえ失う未来を考えちゃうんだなあ。別の世界線でも変わらないのねって思った。こういう所も好きです。

その後の歌詞で
「言うこと聞かない子 どこ 鬼さん来ても知らないよ」ってあるのですが、鬼さんって誰のことだろう。そもそも、言うこと聞かない子も何なのか分からないが、コロナ禍をヒントにしたら答えが出そう。
恐らく、「言うこと」はコロナ禍で様々な規制やルールを指すのでしょう。そしたら鬼さんは、自粛警察かな。
そうなると、「言うこと聞かない子どこ ないものねだりね」は、早く元の日常に戻って欲しいけども、そう願う事自体が、五十嵐にとっての「ないものねだり」なんでしょうね。
しかし、この歌詞の部分もおとぎ話みたい。「鬼さん来ても知らないよ」って語りかけてるし。鬼は現実にいないからね。
こう見ると、現実的な事を歌っているのに、非現実的なモチーフを使うことにより、不思議な世界観の曲に仕上がっている。メロディも、途中で盛り上がったり暗くなったりせず、一貫した温度感で終わっていくといいますか。好き。
間奏の後、もう一度「大気圏の中で暮らしている」と歌うのですが、1番と違ってその部分から、ドラムがたたたって入ってくるのがかなり好き(楽器や音楽に関して専門的な知識が全くないため、この表現であっているか分からない。間違ってたらごめんなさい)

何か無駄に長くなってしまった。
ちなみに、この曲をライブで複数回聞いた事があるんだけど、めちゃくちゃライブ映えするんだ。とくにコーラス部分。横浜で聞いた時、あまりの美しさに心が震えた。福岡で聞けたのも嬉しかったなあ。
またライブで聞きたいなあ。