
回りに複数、「ビル・フリーゼルのギターはいい!」という人がいるので、地元でコアな音源も販売しているトライアングルレコードに行って、「なにかありませんか」と聞いたら、二枚CDを見せてくれた。一枚はソロ、もう一枚がこれ。
最初は「ライクーダーとのセッションなんて、いいのかな」と半信半疑だったが、その共演曲が僕のだいすきな「Shenandoh」だとわかって即決。家に帰って聞いてみたのだが、これがなかなか良い。
カントリーロック風インストルメンタルとでもいうべきか。世界としてはウィンダムヒルあたりにも通ずるが、もっと泥臭く、ECMのアルバムなどよりぐっと肩の力が抜けている(いい意味で)。ときおり、「あ、なんとなくメセニー風」とか「ニールヤングだ」とか「アコースティックなピンクフロイドだな」などといろんなジャンルのギターミュージックが断片的に聴こえる。ループがさりげなく使ってあったりするところもあるのだが、音数の少ない曲作りがなんとなくアメリカの田舎を思わせるところが狙い目なのか、と思う。
ビルフリーゼルはYoutubeでたまに聴くぐらいだから、このアルバムの中味がどういう位置づけになっているのかは分からないし、こういう音楽ばかりではなかろうとも思う。このアルバムはやはり――解説でも指摘されているのだが――ビルフリーゼルによる「アメリカンミュージック探求の旅」の成果なんだろう。しかし、ここで取り上げられている「アメリカンミュージック」はあくまでもフォーク、カントリー、ロック、ジャズなど、「ポピュラー音楽」として流通しているそれであり、「伝統」というものにそれほど深入りはしていない。その「深度」が僕には気にいった。
もし、僕が彼のように「日本のポップミュージック探求の旅」に出たとしたら、一体どんな音楽ができるのだろう。掘り下げる深度は「唱歌」ぐらいだろうか。あるいは服部良一さんあたりの「戦前歌謡」なのだろうか。
そんなことを思ったりする作品だ。
ちなみに、このCDを買ったトライアングルレコードは、店長の吉田さんがこだわりの品選びをしているお店。狭い店内にうずたかく積んであるCDの中に、とんでもないお宝が隠れていたりする。このビルフリーゼルもそんな「山の中」から店主が掘り起こしてきたもの。お近くの方は一度行ってみることをお勧めします。