そのうち来るだろうと思っていたけれど、僕の予想よりは早く来た株価の暴落と国債長期金利の上昇。でも、これはある意味必然だわな。
世の中みんな「景気がよくなった」といい、「アベノミクス効果」は上々、週刊誌とか怪しげな単行本は「今こそ資産運用のチャンス!」「百年に一度の景気」だと煽りたてている。でも、実体経済のほうの指標は上がっているとはいっても部分的だし、賃金だって大企業以外上がっていない。雇用は増えないし産業界は「派遣労働者」導入に続いて正社員を解雇しやすくなる制度の導入を検討している。普通に働いて普通に暮らそうという人たちの生活がますます先行きを見とおせなくなるのに、「景気」も「景気感」も本来よくなろうはずがない。
大体、阿部政権が成立したのは去年の暮、まだ半年もたっていない。その間やったことといえば、金融緩和とまたぞろ公共事業に偏重したバラマキ予算の計上だった。債務総額が先進国最大になろうと、国債金利が上昇しようと、そんな「先のことは考えない」で、ともかくお金を大量にばらまく、ただそれだけだ。もし仮にその効果が出てくるとしてもあと一年とか二年とかかかるはずだろう。予算の執行は年度内なんだから。ところが、マスコミやファンドマネージャーはそんなに待ってはくれない。彼らに欲しいのは「スピード感」である。「景気の回復」ではなく「回復しそうな感じ」であり、その「スピードがはやくなりそうな感じ」である。それさえあれば金融市場は動く。動けば金はもうかる。彼らはね。
今のグローバル経済は、よく「カジノ資本主義」といわれる。そのたとえでいけば、日銀の黒田総裁は「カジノの財務担当であり」であり、阿部首相は「総支配人」である。「大胆な金融緩和」とはこの二人が相談して、「カジノ」で使う「チップ」を大幅に増やすということである。これまでになくたくさんチップが出回れば、それだけ多くのチップが一つのゲームに使われることになり、ルーレットなら一台に張られる金額が増える(株価の上昇)。この場合本当のカジノと違って、チップの値段も競争で変動する。それまでよりたくさんのチップが出回ったため、競争はゆるやかになり、一枚当たりのチップの値段は下がった(円安)。しかし、このチップ増発の裏で、二人は昔からある約束事を覆した。チップを増やすために自分たちで設けていた銀行からの貸付限度額を大幅に上回る借金をしたのである(国債の日銀による買い取り、財政再建の先送り)。従って、この「ばくち」が当たればよいが、もし外れれば、経営状態はさらに悪化し、借金も膨らんでしまう。
「朝日」の論評に「アベノミクスというのは、みんなで『景気が良くなる』といって景気をよくしようとするようなもの」と述べていた。その通りだと僕は思うが、その共犯者にマスコミがなっているのだということをお忘れなく。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130524-00000088-reut-bus_all
http://digital.asahi.com/articles/TKY201305230747.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201305230747