
『イデアの街』というタイトルのCDは、非常に面白いアルバムである。まず、タイトルがいい。実は私が最初に友人に聴かされた曲は『Ciudad de Ias Ideas』ではなく、『Tres notas para decir te quiero』というのであった。日本語で言うと、「愛を奏でる三つの音」だそうだ。いいねぇ!このノリ。どこかのお笑いコンビじゃないが、思わず「甘―い」とかいいたくなる。こういうストレートな題名をつけられるのも「情熱の国」スペインのお国柄か。
楽曲でもっとも素晴らしいのはやはりタイトルの『イデアの街』である。フラメンコ調3拍子にのって。何度も転調を繰り返しながら盛り上がっていくテーマ、伝統的なカンテフラメンコの歌声やパルマ(手拍子)とギターの絡み合いは、単純と複雑、静と動、明と暗が入り交じった独特の世界である。明らかに既存のフラメンコの枠には入らない、しかし、これはどんな音楽だといわれれば、「フラメンコ」としか言いようのない血の濃さ、アイデンティティの確かさが迫ってくる。
さらにいえば、ジャケットもいい。ヴィセンテアミーゴはフラメンコ界では「貴公子」と呼ばれるそうだが、たしかに「イケ面」である。その彼がスペインのカテドラルの中にたたずんでいたり、スペインの裏通り(だろうな)を歩いているショットで構成されているんだが、この写真、限りなくモノクロに近い、やや緑がかった色調なのである。これがいい。それぞれが飾っておきたくなるほど雰囲気がある。
この、『イデアの街』はヴィセンテアミーゴのアルバムの中ではどういうわけか店頭にないことが多い。ディスコグラフィーでも確認できない。Amazonでは見つかったが、ヤフーでは見つからなかった。他のCDは比較的簡単に見つかるのだが、なんでだろ。それから、僕が最初に聴いた「愛を奏でる三つの音」はもっとヒットしてもおかしくない曲なのに、発売当初(2000年)も話題にならなかった。レイサンドバルもそうだが、ヴィセンテアミーゴって、もっと人気が出てもいいのにな。これもなんでだろ。