前回の自分のブログは12月23日付けで「俳句事始め」と銘打ってアップ
しました。その後、地震や海外の戦争騒ぎで世の中が騒然としたまま年が
明け、あっと言う間に3月に入りました。今回も暗い世相の話題は避けたく、
「俳句事始め(2)」として投稿します。
●俳句と言えば季語。17音節の中にあって季語が大事な役目を担っています。
普通なら一瞬を詠んだ詩か呟きで終わってしまうものが、季語の支えが
あると、季節の情感が加わり、読み手の感慨に深みを持たせてくれます。
また、いつでもどこでも通じる一般的な感慨ではなく、その時、その
季節ならではの表現にフォーカスされるため、読み手の心にも強く迫って
くる感じがします。
●年末から2月中旬にかけて詠んだ句から幾つかアップします。
いずれも苦労しながら季語が一つになるよう推敲したものであり、
写真は散歩中に句作しながら撮影したものです。
2月5日夜に大雪となったため、翌6日は願ってもない雪景色が見られ、
初めて雪の情景を俳句に詠むことも出来ました。
<冬> 往く年のすべてを流し大掃除
大掃除またしまい込む古日記
紅白のラップに合わせ孫歌い
除夜の鐘五十足らずで寝入る我
<正月> 喜寿の春喜びもある悔いもある ◎
初詣でスマホ持ち替え鈴鳴らす 〇
地震報スマホに見入る初詣
三が日過ぎて手水舎溜まる水
孫たちが去りて二人の若菜粥
【手水舎】 【寒紅白梅】
<冬> 夕日受け恥じらい顔の野水仙
いつ開く二度目の蕾寒牡丹
山茶花の葉先に垂れる雨雫 〇
軒下の苔を担ぐや霜柱
水仙の花弁に重し雨雫
上り坂蝋梅見つけ休む我
庭の隅デビューしたての寒紅梅
<春> 春めくや水墨画にも色を入れ
春陽浴び水面に鯉の日向ぼこ 〇
春の日やモノ干す妻の唄聞こえ
髪押さえ物干す妻や春疾風 〇
【鴨池公園】 【路傍のパンジーと残雪】
【縄文穴古墳 @市ヶ尾】 【蕗の薹(ふきのとう)】
春めくや筧の音も弾みをり ◎
春浅しコート片手に待つ電車
コジュケイの鳴き声聞こゆ穴古墳
【筧】 【狛犬 劔神社】
ひらひらと手に舞い落ちて春の雪 〇
狛犬の周りに舞うや春の雪
春風に揺れる幟のセールあり 〇
猫柳子らの見入るや赤い苞(つと)
猫柳幼い日々に戻るかな 〇
手水舎で清める両手に温し春 〇
【猫柳 赤い苞(つと)】
雪解けて田んぼに残る持子(もっこ)かな 〇
雪解けて迫る夕闇寺家の里
東風吹きぬ木戸の揺らぎに軋む音
【老木の桃花 @保木】
青空に桃花迫るや保木の丘 〇
花飾りカサコソ揺れる余寒かな
~ 2月12日に88歳の水彩画仲間が旅立ってしまいました ~
友逝きて一つ増えたり春の星
亡き友や演歌にスケッチ黄泉の春
●俳句のグループに入会
熟練者のいる俳句グループを探したところ、元某カルチャークラブ
から派生したグループ「ばらの会」を地元で見つけ、2月に早速入会。
10余名のベテランが月2回集まる句会には既に3回参加しました。
句会の進行ルールに戸惑いながらも、四句六選方式に必死についていく
のが今は精いっぱいというところです。最初に自分の4句を短冊で出句し、
それらが混ぜ合わされて作者が分からないようにして清記された用紙が
順に読み上げられます。
その中から良いと思う句を選んで、〇印をつけ(点盛り)、最後に全員の
評価結果を集計するという手順です。
指導者の日下野仁美女史(76歳)は俳人協会会員で、「海」同人であり
種々の受賞歴のある俳人であり、句会の最後には、指導者による講評、
選句評があり、メンバーの出した句の評価と改善点を明快に示してくれる
ので、大変勉強になります。
幸か不幸か、筆者の句への評価は上記の通りで、◎特選、〇佳作 などと
素人の筆者に過大な評価をもらったため、もう後に引けなくなっています。
ともかく、句作では言葉の選別、文の縮小、適切な助詞の使い方、場面の
切り取り方、余韻の残し方、文語体表現等々、今関わっている作文教室の
指導にも大いに役立つものが詰まっています。このまま少なくとも3年は
句作を続け、楽しめる趣味になり得るならばずっと続けてみようと思って
います。
(atom 石川 記)