星新一の世界 ②
●星 新一は非常に多くの作品を残しながら、いまだに
SF作家としての評価に限定され、名だたる文豪に肩を
並べることがないのは不思議でなりません。それは恐
らく短編作家としてのイメージが強く、読者から誤解
される傾向にあるからではないでしょうか。
●彼の作品は今でも多くフアン層がいて、そろそろ文豪
と称されてもよさそうなのに、実際はそうなってはいな
いのです。いったいその原因は何に起因するのだろうか
というのが、私が新一の作品を読むたびに感じる率直な
疑問となっています。
(星 新一とコミック)
●そこで、新一の作品の分析を行うことにより、漱石や
鴎外のように「文豪」と称されない理由を考えてみるの
もおもしろいと思います。しかし、新一が漱石や鴎外の
ような文豪として同等に扱われなくとも、せめて「大家」
や「巨匠」というような称号が与えられてもよさそうな
気がします。これが新一に対する私の密かな期待ですが、
まず手はじめの試みとして、新一の作品をいくつか深読
みして分析してみるのも無駄でなないでしょう。
●ちなみに、このように考えるに至ったのは、もう一つ
の理由があります。それは、私が東京で主宰する「子ども
作文教室」では、他の教材と併せて、新一の『きまぐれ
ロボット』は、初級段階での教材として使っていますが、
子どもには200字作文を書かせるにはとても使いやすく、
便利な内容であることに、無意識に依存し過ぎた反省が
あるのも正直な気持ちです。
『きまぐれロボット』
●まず有名な『きまぐれロボット』を読んでみると、作品
の構成が非常に自然体であり、小学生の低学年でも読める
ような内容として、楽しめるようになっています。例えば、
ストーリーが1200字程度の短編であり、漢字の使用につい
ては、当用漢字以内に制限され、しかもすべてにルビが付
してあって、難しい語句や言い回しなどは一切出てこない
ため、気軽に読めるようになっています。これは新一の
ほぼ全作品にいえますが、ここに新一の真骨頂が発揮され
ていることに、読者はほとんど気づかないようです。
つまり、全作品に彼の意図や創意工夫などが絶妙に配され
ているため、読者がついその真意や背景まで気づかないと
いうことです。彼の生きざまを知る限り、新一はそのこと
に全エネルギーを使った人で、その努力には高い評価に値
することを忘れてはならないでしょう。
(星 新一作品と絵本)
●そこで、彼の作品をきちんと評価するには、それなり
の時間をかけて、分析する必要があると感じたからに他
なりません。そういう視点から星新一の作品を深読み
すれば、今まで見落とされがちな新一の作品に、新たな
評価を掘り起こすことを望んだからにです。そういう
意味で新一は作品のみならず言動にも不思議な魅力を
抱かせる人物だと評価できます。
『おーいでてこい』
●なぜなら、日本のSFショートショートの分野の開拓者
で、日本人が従来考えもしなかった科学小説という世界を、
「ショートショート」の形式で、一分野を開拓した巨匠
だからです。そこで、『きまぐれロボット』を手始めとして
膨大な作品の中から、『ボッコちゃん』、『セキストラ』や
『盗賊会社』、『マイ国家』、『ノックの音が』、『おーい、
でてこい!』など、いくつかの作品を選んで、じっくり
読んでみることをお薦めします。
『ボッコちゃん』
*イラスト・写真等は、ネットから引用しました。
Kubotan記 (2026.04.19)





