コトバあれこれ

コトバあれこれ

子ども作文教室、子ども国語教育学会の関係者による
投稿記事ブログです。

庭のお客様 ― メジロ&鳥の巣いろいろウォッチング ―

 

<庭のお客様 メジロ>

 

 ある朝、庭に出ると頭の上からバサバサと鳥が飛び立った。メジロである。

 庭に出てすぐのところにハナミズキの木がある。通路上の枝を見上げるとすぐ頭の上、手の届くところにかわいい巣がぶら下がっているではないか。ちょうど味噌汁椀ほどの大きさの白い毛糸で編んだようなフワフワの巣である。このフワフワの糸の材料は、蜘蛛の糸、蜘蛛の卵嚢をよく使うということだ。

 

 庭へ出る窓辺から1mほどの距離、ちょうど庇の下で雨もあまり当たらないような場所である。門への通路だが、平日は窓からの出入りはほとんどないため、メジロは、この場所を選んだのであろう。一週間ほど前から、ハナミズキの木でメジロをよく見かけたので、もしかしたらその頃から巣を作っていたのかもしれない。驚かせてはかわいそうなので、この通路を通行止めにして窓から見守ることにした。

 

 卵を抱いているらしく、餌をとりに巣を離れるとき以外は、巣の中に座っている。卵がいくつあるか覗いてみたい気持ちはぐっと抑えて見守った。

 2日後の朝、窓からのぞくと親鳥が巣の縁に立っている。もしかしたら、雛が孵ったかもしれないと思いながら見ていると、巣の上に黄色いくちばしが時々除く。親鳥が、餌を運んで雛に与えているしぐさが見える。餌取りに忙しい親鳥は、我が家の庭だけでは餌が足りないようで、少し長めに巣を空けることがある。ちょっと失礼して、巣に近づきシャッターを押す。なんと三羽の雛の大きな黄色い口が写った。 

 

        

 

   巣は、ハナミズキの2本の小枝をしっかりと巻き込むようにしてつるされており安定している。外側が蜘蛛の巣を主な素材としたフワフワのお椀であるが、内側は、細い小枝を組んだものになっていた。器用に作るものだと感心する。巣作りを見逃してしまったことが残念である。

 

  

<我が家の鳥の巣> 

 

  我が家の庭には、大きな木があるために時々鳥が巣を作る。これまでに、ハシブトガラスとキジバトに巣を作られたことがある。鳥によって差別をしてはかわいそうだが、さすがにカラスの巣は放っておけずに(幸い2階のベランダから竿で落とせる距離だったので)撤去させてもらった。

 

  

 

    撤去したカラスの巣は、外側は27本の針金ハンガーを絡め、その内側に小枝の層、その中に細い枝や木の皮など、真ん中は細かい棕櫚の繊維と色とりどりのスズランテープを絡めた柔らかい椀状の造りであった。都会のカラスならではの巣である。

 

 キジバトの巣は、小枝を絡めた巣であった。手の届かないところに作られたため中をのぞくことはできなかった。メタセコイアの葉が茂ってくる頃に巣作りをするので、様子はなかなか見られなかったが、独特の鳴き声がしばらく聞こえてきていた。

 

 

<鳥の巣ウォッチング>

 

 野山や町中を歩いていると営巣地や巣を見かけることがあり、楽しい。巣もいくつかのタイプがある。私が、これまで見たことがあるものを挙げてみる。

 

 ツバメは、泥と枯草を混ぜたお椀型の巣を壁に付けた細かい枯れ草などを産座に敷く。駅などでも見かけることがあるが、人の生活圏、軒下でカラスなどに狙われにくい場所を利用している。毎年同じ場所につくられることもあるので、今年はどうかと心待ちにしながら春になるのを待つ。

 

 エナガの巣は、近くの里山で春先、まだ葉が茂る前のコナラの木の又に作られているのを見たことがある。地上8mほどの高さの場所で、白く光って見えた。蜘蛛の巣やコケなどで作られた袋状の巣である。産座には羽毛を敷くそうだ。高い木の又で雨風はしのげるのかと心配したが、巣穴が横にあるということで、なるほどそれなら大丈夫だと納得した。

 

    

 

   町中でもよく見かけるヒヨドリも樹上に巣をつくる。学校の木の剪定をしたときに取られた巣を手に取ったことがある。木の枝の込んだところに細い枝や枯れ草をお椀型にまとめた巣で、産座には松葉や蔓などが敷かれていた。

 

   

 

 

<アオサギ 集団営巣地>

 

 集団で巣をつくる鳥もいる。サギの仲間、鵜などに多く、不忍の池の鵜の営巣地は有名であり、目にした人も多いのではないだろうか。

 今年の4月、麻生区の里山を歩いていてアオサギの営巣地に出合った。水辺の鳥であるため、池や湿地がある近くを好むのであろう。池の近くの雑木林、樹上20メートルほどの高さの枝の分岐部分に、径が1mほどの大きな巣が12個ほど数えられた。枯れ枝を組んだ大型の巣で、親鳥が番いで雛の世話をしている様子が見られた。

 

 

 

 しばらく眺めていると、交代で餌をとりに出かけているらしく、樹上から水辺に降りてくる。アオサギは、日本で見られるサギの仲間では最大で、翼を広げると1.5mほどもある。時折、頭上をかすめるように飛んでくると壮観である。

 

 

 よく見知った鳥たちであるが、巣や子育ての様子にはなかなか気づけない。少し関心を向けていたら、きっともっといろいろなものに出会えるのだろうと思う。また、どれ一つとっても、自然の営みと生き物の知恵を感じる。

 

 メジロは、卵が孵化するまで11日くらい、雛が巣立つまでも11~12日くらいということである。そろそろ巣立つかと楽しみにしていた日、帰宅してみると、巣が・・・。外のハンモックが半分ほどふわりとぶら下がっているのみになっていた。下にも周囲にも何も落ちていないのが不思議である。巣立ったのであればよいが確認できず、心残りな結末になってしまった。

 巣立った後の巣は、使われずにすぐに風化してしまうと聞いていた。巣立ったあとの巣をコレクションに加えさせてもらおうと思っていたのだが、それもかなわなかった。

 

 一時の楽しみを運んできてくれた小さなお客様に感謝し、また出会えることを願った。

 

                                            neko記