メスティンに喜界島産の魚の切り身を二切れ、カット野菜、ウインナー、固形の鍋の素を詰め、適当に水を注ぎ蓋をして、焚き火台の上に置く。
風が強過ぎて火が安定しない。右に左に炎が靡く。芝生を焼かないように広げたブルーシートに火の粉が落ちて所々黒く溶けて穴が空く。150円で買った安物だから気にしない。突風に煽られてメスティンの蓋が飛んで行く。重い薪を置いて重石にする。危ないから早々に熾火にして焚き火は諦める。謎料理が完成する。白身魚は身がほくほくして結構美味い。普段料理を殆どやらない僕にしては上出来だ。締めに海苔を剥いだおにぎりを投入して再び火にかけ、海苔を引き千切って上からまぶす。雑炊だ。まあ、イケる。
黒糖焼酎喜界島を炭酸水で割って飲む。ツマミにさきいか。最後にULU coffeeで購入した珈琲を沸かして飲む。二杯分近く豆が挽いてある。美味い。それらの行程を終わらせると、もうやる事は無くなった。早起きで走り回って疲れている事だし、歯を磨いて寝る。
腰を低く落とした力士のつっぱり、ラガーマンのタックル、特攻服の女番長に足裏で執拗に蹴られまくる。
そんな夢を見そうな気がする。僕はメッシュ素材のインナーテントを閉め寝袋に潜り込んで目を瞑っていた。ひゅおおおおっと上空から甲高い音が鳴って、数拍の静寂を置き、どんっ、波動砲のような衝撃がテントの側面を凹ませ、テントの張り出しがだららららっと凄い勢いで振動する。ポールが持って行かれそう。それから、ばら、ばらばら、ばらららっと雨が降る。そのサイクルをずっと繰り返す。多分張り出しに雨が溜まって、強い風に吹かれメッシュを通り抜けるんだろう。顔面左眉の辺りに、びちゃっと水が掛かる。顔にタオルを巻いて、知らん、寝る。固く目をつぶって朝を待とうと試みたが、また顔面に水、三度目の水で、寝れるかーいと自分に突っ込んで起き上がった。ヘッドライトを装着しポールを外しファスナーを下まで閉める。形状的に風が逃げるのか衝撃も少し和らいだ。さすが。バンドックのソロドームは優秀なテントだ。テントに籠って聴く、ぽつぽつ響く雨音もいいものだ。僕は明け方近くに気絶するように眠った。
朝の天気も微妙だった。相変わらず降ったり止んだりを繰り返す。ただ鳥の囀りと時折覗く強い陽射しが心地良い。珈琲とセブンスター、昨晩の残り物の鍋。虹が出た。美しい。青いオートバイ、青いテント、ブルーシート、雲の隙間から青空。僕だけの景色。僕だけの時間。
喜界島に来て、本当に良かった。



