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〜文学、お笑い、オートバイを愛する気高く孤独な三十路独身男の魂の軌跡〜 by久留米の爪切り



婦女子のハートを鷲掴みにしそうな可愛らしい外観で個性を放つ、cafe &手作り雑貨の店「プレディレット」さんは一番街アーケードの中にあり、パイセン 御用達の店である。内側のドアノブには虎のぬいぐるみが絡まっていた。ファンシーな空間は僕には少々場違いに思える。でも立派なおっさんたるパイセンに依ると、こちらはランチも出来るし、昼から酒も飲めて仕事をサボタージュするにはもってこいの貴重な店であるらしい。美人というより、可愛いと言った方がしっくりくる若い女性店主は、明るく溌溂としていて人柄の良さが前面に出ていた。黒髪が素敵だ。市内の飲食店事情にとても精通しており、どの店が面白いか、という雑な質問にも澱みなくすらすら答えを出してくれる。裏稼業で情報屋をやっているのでは、と疑ってしまう。



その時、カレー鍋やフィリピン料理、飲み慣れないアルコール飲料で既に腹がパンパンだった僕は、ドリンクを一杯だけ頂いた。


店主おすすめ(余り労力をかけずに作れるらしい)フルーツ酢450円を注文した。

ミルク割り、マンゴーを選択した。何故マンゴーにしたか、だって。ちょいと助平な単語を口にすることで、可愛らしい女性店主の歓心を得たい、との男の性、本能を我慢しきれなかったのだ。そうだ。僕は馬鹿だ。

壁際の棚に様々な雑貨が飾られている。女子なら狂喜乱舞すること間違いない品揃えだ。ここで女子力の高そうなアイテム(わりと廉価な品が多いようだ)を購入し、あの娘アノ子あの人アイツ に寄贈していたなら、僕の未来は今とは全く違ったものになっていたかもしれない。二人で仲良くテレビを観て笑い、食卓に一個残ったコロッケを譲り合い、唐揚げに檸檬をかけるかどうかで罵倒の応酬をして最終的に抱き合ったり、週末に貝塚線で三苫駅まで出掛け、海岸線の波打ち際、じゃれあって水をかけたり、追いかけっこしたり、夏の朝に三本松公園でキャッチボールをしてカットボール習得に励んだり、そんな幸福な生活を描けたりしたのだろうか。教えてよ、ラジバンダリ。

ストローでグラスの氷をくるくるかき混ぜながら、甘酸っぱいドリンクを摂取する僕は、混濁した記憶の渦に飲み込まれ、叶わなかった恋の残滓を舌先で弄び、まだ見ぬ恋に恋していたのさ。



プレディレットカフェ / 西鉄久留米駅花畑駅櫛原駅
夜総合点★★★★ 4.0