大艦巨砲主義に縋る街でハンバーグと叫ぶ | エキセントリックギャラクシーハードボイルドロマンス         

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〜文学、お笑い、オートバイを愛する気高く孤独な三十路独身男の魂の軌跡〜 by久留米の爪切り



大通りに面してはいるが、如何せん横幅が狭いため、うっかりすると見過ごしてしまいそうだ。


格子状になった木枠にガラスが嵌め込まれた扉は、内側に白いレースカーテンが引かれている。縦に細長い取っ手を掴み、扉を開け店内へ足を踏み入れる。厨房を囲むように、L字になった木のカウンターテーブルが見えて、壁際に冷蔵庫や本棚、その横の台には毛糸の帽子、コーチのバッグ、外国産のお菓子、ステレオ等が脈絡なく展開している。壁とカウンターの隙間を縫って通路が伸び、突き当りにトイレと四人掛けのテーブル席が一つあった。テーブルには裁縫道具らしきものが置きっ放しだ。木がパイプ状になった椅子は背凭れが低く、どれも花柄の座布団が敷いてある。黄土色の壁紙にも、くすんだ暖色の正方形のタイル床にも、一昔前みたいな幾何学模様が描かれていた。婦人の趣味らしきパッチワーク、刺繍が壁に吊るされている。ジグゾーパズルも飾られている。本棚には当然のように女性セブンが鎮座している。久々に爺ちゃんと婆ちゃんの家を訪問した心持がする。


久留米市六ツ門町4-4「ピーコック」さんである。結構ご高齢と見受けられる夫婦二人で経営されているようだ。でも、御主人の白シャツとデニムのエプロン姿はなんだかとても若々しかった。



「ハンバーグカレー(スープ付き)」680円を注文した。セットじゃなくて大丈夫なのか、と問われ大丈夫だと応じた。余り金を遣いたくなかった。


黒い汚れがこびり付いたガス台に火が点けられ、調理が開始される。年季が入っている。鍋も底が真っ黒に焦げている。炊飯器だけは割と新しいようで銀色に輝いており、対比が際立つ。挽き肉を捏ねた御主人が、フライパンでハンバーグを焼く。

まず提供されたスープはミソ・スープ、つまり味噌汁だった。麩が大きい。玉葱がしなしなだ。日本的な定番スープそのものの味がした。

さて、メインの「ハンバーグカレー」お出ましである。お供は福神漬けだ。ハンバーグは焼き面がほんのりカリッとしている。ハンバーグそれ自体はにちゃっと柔らかく、薄い。茶色いカレーはいつかの学生食堂で食べたような、懐かしい感慨に浸れる、昔ながらの定番の味である。ボンカレーに近い、と言ったら語弊があるだろうか。僕はボンカレーが好きなのだ。本当に。


店を出たら、正面に再開発でぶっ壊された新世界跡地に、どでかい高層マンションが聳えていて、余りの迫力に思わず、でっけーな、と呟いた。誰に言ったわけでも無い単なる独り言だった。



ピーコックレストラン(その他) / 花畑駅西鉄久留米駅
夜総合点★★★☆☆ 3.5