「第二回 南蔵院」 | エキセントリックギャラクシーハードボイルドロマンス         

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〜文学、お笑い、オートバイを愛する気高く孤独な三十路独身男の魂の軌跡〜 by久留米の爪切り







憧れのショートカット美女と遂に、デートすることに漕ぎ着けたものの、一体何処に連れて行けばわからない、そんな迷える子羊(ストレイ・シープ)に捧げる。今日まで夥しい数の脳内デートを一人で繰り返してきた自称デートマイスター、久留米の爪切りが、珠玉のデートスポットを紹介させて頂く。

第二回は、南蔵院である。

住所は福岡県糟屋郡篠栗町1035である。全長41m、高さ11m、重さ300tと、兎に角どでかいブロンズ製の釈迦涅槃像が有名である。

最近、若い女性の間で、大仏信仰が隆盛を極めているらしい。昼下がり、スタバのテラス席で若い女性二人組がお喋りに興じて居たら、その話題はまず間違いなく、大仏に関することである、と断じて差し支えないほどだ。先行きの見えない現代日本、将来に対する漠とした不安、国の借金、高齢化社会、破綻寸前の年金制度、こんな社会では安心して暮らせない、若い女性達の間で末法思想が蔓延しているのだ。彼女達は大仏に縋り、救いを求めている。

「大仏、見に行こうぜ」

この誘い文句に乗らない女性は皆無であろう。胎内参拝には、お金がかかる。女性の分まで支払う必要はない。あとで、かけうどんを奢れば良い。

涅槃像の胎内には、四国八十八箇所の寺院の砂だか石だかが、正方形のタイル状に敷き詰められており、それを順番に八十八個踏みしめて歩けば、擬似お遍路が体験出来る。「なんだか二人で旅行しているみたいだね」女性に甘く囁くと良い。胎内から出ると、何故かダーツゲームにチャレンジ出来る。所謂、フレンドパーク形式である。「この矢が、君の胸に刺さればいいのに…」キザな台詞に女性は弱い。ガンガン言ったら良い。本当に刺すのは、勿論、駄目である。そして二人でソフトクリームでも舐めつつ大仏を眺め、決め台詞を吐くのだ。

「大仏様が寝ているね。涅槃像さ。実は僕も寝るときは、あの体勢なんだ」

女性に自分が高尚な人間であることを知らしめるのが肝要である。最後に土産として、篠栗大師せんぺいを買えば、ミッションコンプリートであろう。

健闘を祈る。