三宅島(2000年)の全島避難の際、「犬の島残留」として特に語り継がれているのは、飼い主と離れ離れになり島に残り、生きて再会を果たした犬たちの物語、中でも新聞配達員の愛犬「ムサシ」のエピソードです。





この出来事は、人間だけでなく動物も巻き込んだ大規模な災害避難の現実と、深い絆を描き出すものとして、後に映画やノンフィクション作品の題材にもなりました。

🐶 三宅島噴火(2000年)「犬の島残留」の秘話

1. 避難の混乱と「残留犬」の発生
 
全島避難の現実: 2000年8月から9月にかけての火山活動の活発化に伴い、三宅島は全島民に避難が勧告されました。この避難は、火山ガス発生により長期化し、島民の帰島までに約4年半を要しました。

動物の避難: 多くの島民は飼育していた動物(犬、猫、家畜など)を竹芝桟橋などを経由して本土へ避難させました。獣医師会などが一時保護を引き受けるなどの支援体制が組まれましたが、避難の混乱の中で、すべての動物を連れ出すことはできませんでした。

 取り残された動物たち: 逃げ出して捕まえられなかった犬や、やむを得ない事情で残された動物たちが**「残留動物」**となりました。その数は、全体で数百頭に及んだとも言われています。

2. 犬「ムサシ」のサバイバル
特に有名なのが、島に残された**新聞配達員の愛犬「ムサシ」**の物語です。

島での一年間: 噴火による避難の際、飼い主と乗る予定だった船に乗り遅れる形で島に残ってしまったムサシは、火山灰で覆われた島で、他の残留動物と出会ったり、自力で食料を探したりして、過酷な状況を生き延びました。

 残された犬たちが、エサを求めて空き家や残された飼い主のエサを漁ったり、野生の生き物(カエル、ヘビの卵、雛鳥など)を口にしたりして飢えを凌いだ状況が記録されています。

 再会と保護: 島民が避難した後も、役場などの一部職員がライフライン維持のために島に残留したり、物資の搬送などで一時的に島を訪れることがありました。

 ムサシは、避難から約一年後に島を訪れた職員によって生きたまま発見・保護されました。

 その後、本土に運ばれたムサシは、手厚い保護と獣医師の治療を受け、新しい飼い主の元へ迎えられ、命を繋ぐことができました。

3. この秘話が持つ意味
この「犬の島残留」のエピソードは、単なる美談ではなく、災害時に**「人と動物の共生」**という問題提起を深く残しました。
 
動物愛護の意識向上: この件をきっかけに、災害時におけるペットの避難や保護についての議論が深まり、その後の災害対策や動物愛護のあり方に大きな影響を与えました。

映画化: この実話を元に、少年と犬の絆、そして避難生活の現実を描いた映画『ロック わんこの島』(2011年公開)が制作され、広く知られることとなりました。