こんばんは‼︎
ヴォーカリスト兼ボイストレーナーのKです。
今回のテーマは高音域です。
最近、よく見かける内容として
地声で高音域発声ができるようになります‼︎
みたいなキャッチコピーを掲げてるボイトレ
教室多くありません？
いやね、別にそれが悪いとは言わないんですよ
。
その本質を理解してそのキャッチコピーを謳っ
ているのならね。
けど、このキャッチコピーには幾つか嘘、大袈
裟、紛らわしい点があります。
そもそも人体の喉の構造上、純粋な地声で高音
域発声はできませんからね。
ここ、誤解してる人多いと思うんですよ。
僕もそうでしたけど、巷で有名な歌手たちの歌
声を聞いて
この歌手は高音域を地声で歌っている。
こう認識させられる歌手っていますよね？
日本国内で思いつく範囲であれば・・・
稲葉浩志さん
デーモン閣下
ワンオクのタカさん
髭男の藤原さん
他にも多くいますよ。
いずれも高音域が強い歌い手さんたちです。
髭男の藤原さんの高音域は少し濁ってますか
ね、世にいうベルティングボイスってやつな
ので。
それはさておき・・・・
さてさて、上記の方々の歌声を聞いて、彼ら
のhiCの音域を聞いて裏声で歌っているって
分かる方はどれくらいいますでしょうか？
は？
こいつなに言ってるんだ？？
バカじゃないのか（笑）
この歌手たちのhiCの歌声が裏声なわけないじ
ゃないか。
どう聞いても地声だろう。
こう思われる方もいますでしょうね。
僕もそう思ってましたからその気持ち、よく
分かりますよ。
確かに地声にしか聞こえませんよねえ・・・
けど、彼らもそうですしなんなら世界的なロ
ック、メタル歌手、代表格であればディオや
リトル・リチャードの高音域だってその原音
は裏声です。
つまりですね、僕がそうであったように皆様
も裏声の本当の力をみくびっているのです。
裏声はその発声の指向性を変えてやるだけで
十分に地声に匹敵する硬い音色を出せるよう
になるんです。
特に高音域では顕著。
今回のテーマはこれです。
ご興味ある方はこの先もお読みください。
目から鱗な話ですよ（笑）
では早速本題です。
先に結論から申しましょう。
口腔に共鳴を集めること
で裏声の音質は地声に聞
こえるように変貌する‼︎
これですね。
皆様が耳に馴染みのある裏声って眉間、おでこ
、頭頂を鳴らす仮声帯を鳴らす発声のことです
。
特にhiCは男女関わらずそうです。
胸腔を鳴らす純粋な地声の上限はmid2Fまで。
フースラーのアンザッツで解説するなら純粋
な裏声は
「3a」→「5」→「4」
となります。
これは高音域に行く程「3a」から「4」に向
かっていきます。
いわゆる正常なリフトアップ共鳴ってやつで
すね。
これが普通の裏声。
この声はどんなに声量を増加させても共鳴して
いる箇所が変わらない限りは音質に劇的な変化
は見られません。
裏声の範囲で音量の大小をコントロールしてる
だけなので結局、声量が大きかろうが小さかろ
うが裏声にしか聞こえません。
結果、裏声を鍛えるだけでは大きな音色的な変
化は起こりません。
要約するとこの共鳴箇所で裏声を鍛え続けても
先述したような歌手たちの歌声には近づくこと
すらできないでしょう。
じゃあ、どうすりゃいいのよ？
ここは僕も散々、悩みましたよ〜。
それこそ何年もね（笑）
己の才能に絶望して死んでしまいたくなったこ
とも幾度となく・・・
おっと、暗い話になりそうなので僕のことはこ
のくらいにしましょう。
ここで結論としてお話しした口腔共鳴が登場し
ます。
上記のアンザッツを注目ください。
口腔はどこにあります？
そうアンザッツ「1」の奥です。
やや強引ですし人間の自然な発声からはかけ離
れますが本来、「3a」「5」「4」を共鳴させ
る裏声の共鳴を「1」まで落としてくるんです。
この発声が成り立つのはマイクを使ったポップ
スのヴォーカルならではですね。
これをやるとどうなるのでしょう？
自然な共鳴で「3a」「5」「4」で鳴らす裏声
は声帯がピッチリ閉じて綺麗なクリーントーン
で音が鳴ります。
ところが「1」に共鳴腔を落としてくると否が
応にも声帯は少し開いてきます。
結果、この発声が上手く行くと母音は少しノイ
ジーでハスキーになりますね。
声量は少し減退します。
ですが音色の硬さと鋭さは激増します。
これはアンザッツ「1」に声を当てた時だけに起
こる声帯閉鎖、声門閉鎖のなせる業。
他のアンザッツではこの閉鎖が起きないんです
。
これがhiCの裏声を地声のように響かせることの
できる秘密です。
hiCの裏声も声の指向性を眉間に当てる声から前
歯に当てる声にしてやるだけアンザッツ「1」の
声帯閉鎖のおかげで大化けします。
それはもはや裏声には聞こえません。
一般人に限らず発声に深い理解のないプロの歌手
やミュージシャンが聞いても地声で歌っているよ
うにしか聞こえないでしょうね。
ディオやリトル・リチャードをはじめ、海外、
国内問わずのハイトーンシンガーの高音域は例
外なくこの声です。
文字通り、例外はありません。
裏声を地声のように響かせるプロです。
ベルティングボイスはこの派生・・・
というよりも間違った解釈の結果生まれた悪声
だと個人的には思ってます。
高音域で声の太さを求めるあまり鳴りの良さを
犠牲にしてアンザッツ「2」に押し下げたよう
な発声。
尚且つ声帯への負荷も半端ないので長持ちしま
せんし高音域の響きが不自然なんですよ。
中低音では綺麗なのに高音域で妙にこもったよ
うな音質になっちゃう。
例えばスティーブン・タイラーは確実にこんな
発声法では歌ってませんね。
そして押し下げる先がアンザッツ「6」ではな
いのが注目点。
「6」に持っていくともっと声楽っぽくなるの
です。
ディオはこちらのタイプですね。
「1」が強烈に使われつつも「6」も十分に機能
している。
このバランスはとっても難しい。
口腔「1」とうなじ「6」で声を引っ張りあって
ギリギリ双方の良いところところを維持してる
ような感覚。
「1」が強いと鳴りは良いけど声は細くなる。
「6」が強いと声は太くなるけど鳴りがこもっ
てしまう。
この絶妙な発声のバランス感覚がディオの凄さ
。
ディオに似たような歌手って実は欧米圏には多
いのですが大体、どちらかに偏っていきます。
ヒステリックに細い声になるか太いけどこもっ
た声になるか・・・
この二択って感じ。
ニルス・パトリック・ヨハンソンとか
パストーレとかはディオに似てますけど音抜け
は少し悪いかなあ。
いやね、どちらも歌は抜群に上手いんですよ。
僕なんか比較にならんくらいね（笑）
試しに聞いてみてください。
ニルス・パトリック・ヨハンソン
パストーレ
ついでにディオも
やっぱ、ディオの歌声が一番音抜けが良いんで
すよね。
他の二人は似てるけど・・・
言い方悪いけど無理に真似ようとしてるような
。。。
もちろん皆、高音域は裏声ベースのシャウト唱
法ですよ。
これが裏声に聞こえる方はいますか？
だとしたらあなたは相当に発声に関する良い耳
を持っています。
さて、今回は以上です。
お読みいただきありがとうござました。