(つづきです…)
発行 祥伝社
ぼく と ねこ は、かぞく になりました。
ふたりで 毎日、ぼっちゃん の
てがかり を もとめて ききこみ をしました。
「 ぼっちゃん をみなかった? 」
池 の こい に たずねます。
「 それは なんだい? 」
「 にんげん の おとこのこ だよ。
ようちえんじ なんだ。 しらない? 」
「 しらないね 」
こい は おひれで みなも をたたくと、
池 のそこ へ もぐってしまいました。
「 ぼっちゃん を みなかった? 」
ぶんちょう の ふうふ に たずねます。
「 それ は なんなの? 」
「 にんげんの おとこのこ だよ。
ぼく と、お父さん と お母さん の
4人で くらしていたんだ。しらない? 」
「 しらないなあ 」
ぶんちょうの ふうふ は よこをむくと、
くちばし を つつきあわせだしました。
「 ぼっちゃん を みなかった? 」
はらっぱ の うさぎ に たずねます。
「 それ は なあに? 」
「 にんげん の おとこのこ だよ。
絵 をかくのが、とても じょうずなんだ。
しらない? 」
「 しらないよ 」
うさぎ は クローバーを けって、
林 の ほうへ かけていきました。
「だれも ぼっちゃんのことを しらないんだ」
「 まあ、あたしだって しらないからね 」
「 …ひどい よ 」
「 じょうだんよ。 ごめんね 」
ねこ は あやまると、ぼっちゃんのこと を
もっと きかせてほしい と いいました。
ひとりっこ の ぼっちゃん は、いつでも
ぼく と いっしょ だったこと。
どこにでも つれていってくれて、
ねるとき も まいばん
同じ おふとん だったこと。
おきにいり の クレヨン で、
ぼく の絵 を たくさん かいて くれたこと。
かなしいとき は、 ぼくに かおをうずめて
なみだ を ふいていたこと。
この お腹だって
はじめ は まっ白 だったんだ。
「 ニャンコには ぼっちゃんの おもい が
しみこんでいるのね 」
きづくと ぼくの 目 からは
なみだ が こぼれていました。
「 ぼっちゃん に、 あいたい。
きっと ぼっちゃん も、
ぼくが いなくなって
さみしくて 泣いているよ 」
ねこ は ぼく のせなか を
やさしく なでました。
ときおり なにか いいたげ でしたが、
ずっと だまった まま でした。
『ニャンコは そういうけれど、
ほんとう は
すてられちゃったんじゃないかしら?
だって こんなに ぼろぼろ だもの。
それに にんげん は
しんよう できない じゃない』
風 が だんだん つよく なり、
かみなり雲 が 近づいてきました。
「 この道は おぼえてる? 」
「…おぼえてない 」
ふたたび ぼくと ねこは 歩きまわって、
ぼっちゃん の おうちを さがしました。
でも なにも みつからないまま です。
ぼっちゃん が みつからないまま、
まいにち は すぎてゆきます。
おひさま の 光 は やわらぎ、
ゆうがた には すずしい風 が
ふくように なりました。
ねこ の 体の 毛が 、ふんわりしてきました。
せたけ も すこし のびたようです。
ぼく が ぼっちゃん のことを
おもいだして ないていると、
ねこ は そっと
だきしめてくれるように なりました。
やわらかい 毛に つつまれていると、
とても あんしん できるのです。
ぼく は 考えました。
おうち が みつかったら、
ねこ も いっしょ に くらせないだろうか。
このままだと、ねこ は
ひとりぼっち に なってしまう。
ニャンコ を だきしめながら、
ねこ も また 考えていました。
かぞく が いる って
さびしくないし、 とっても たのしい。
このまま ずっと、 ニャンコ が
いっしょに いて くれないかしら。
(再度つづきます…)
スミマセン
明日で、完結いたします
よろしくお願いいたします
ps.うさぎさんの、にんじんくんが
シュールです( ´△`)